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【三重大学の授業紹介 #21】生物資源学部における「グローカル資源利用学チュートリアル」

生物資源学部2年生が1年間の演習の成果を報告しました。


生物資源学部専門科目、教育コース必修科目である「グローカル資源利用学チュートリアル」(担当教員:関谷信人教授、中島亨准教授)の授業では、三重県内の一次産業に従事する生産者に聞き取り調査し,浮かび上がった経営課題に対して解決策を提案することを大きな目標とし、思い付きや直感に頼った提案ではなく根拠(エビデンス)に基づいて提案することを目指しています。

グローカル資源利用学チュートリアル

グローカル資源利用学チュートリアル

生産者課題の解決策を仮説として掲げ、仮説を検証するために全国の消費者から無作為に抽出された400名の消費者に対して聞き取り調査し、消費者の回答を統計学的に解析して、考察した結果を、授業の最終回である統計分析報告会で生産者へ報告しました。
2018年度から2021年度に掛けて中勢地域から北勢地域に広がる20法人・団体を対象として授業を展開し,その成果は三重県農業改良普及センターの皆さんの目に留まるところとなりました。

農業改良普及センターでは、三重県庁に採用されてから初めて農業改良普及事業に携わる職員を対象に「資質習得プロジェクト研修」を実施しています。新人職員はメンター職員の指導のもと、県内の生産者を対象に2年間にわたって農業改良普及プロジェクトを展開します。
三重大学と三重県庁の連携を模索する議論を通じて、本年度からは、「グローカル資源利用学チュートリアル」の統計分析報告会と「資質習得プロジェクト研修」の期末報告会を合同で開催することになりました。
合同報告会は、三重大学と県内8か所の地域センター(中央、桑名、四日市、鈴鹿、津、松阪、伊勢志摩、伊賀、紀州)をオンライン会議システムで接続し、本学からは2年生の4グループ、農業改良普及センターからは4名の新人職員がそれぞれの成果を発表しました。大学からは教員、在校生(2年生、3年生、4年生)、生産者を合わせて約50名、センターからは約70名の参加者を得て、盛大に開催されました。

グローカル資源利用学チュートリアル

グローカル資源利用学チュートリアル


学生にとっては大きな緊張を強いられる報告会でしたが、そこへ向けて全力で取り組む過程に得た学びは座学とは比較にならないほど大きく、今後の学修やその後の人生に大きな影響を持つことが予想されます。また、農業改良普及センターの皆さんにとっても、農業改良普及の在り方を異なる視点から見つめる大きなきっかけになったかも知れません。

今後の新たな展開が大きく期待されます。

この授業は、農林水産業の課題に対して解決策を提示するための方法論を学ぶ、卒業研究の準備科目として位置付けられています。学生らは、ここで得た知識や技術を3年次に開講される発展科目の社会調査演習で活用することとなります。前期には主に社会調査法の基礎を学び、そして生産者を対象とした現地調査を行います。後期には消費者を対象としたアンケート調査を実施し,収集したデータを統計解析し、既往研究と比較しながら調査結果の示す意味、調査結果の記述方法や口頭発表の方法もあわせて学びます。社会科学と自然科学の教員による文理融合的な視点から現地調査を行うことができる魅力あふれる授業科目です。


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