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みえアカデミックセミナー2025「子育てにおける父母連携と子どもの健やかな発達」を開催しました

7月16日(水)三重県文化センター1階レセプションルームにおいて、みえアカデミックセミナー2025「子育てにおける父母連携と子どもの健やかな発達」を開催しました。

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「みえアカデミックセミナー」は、三重県総合文化センターを会場に、三重県にあるすべての大学・短期大学・高等専門学校の高等専門機関が有する高度な学びと県民の皆様をつなぐ一大連携事業として開催されている公開セミナーです。今年度のセミナーは7月16日(水)に始まり、8月28日(木)まで「健康・医療・福祉・歴史・文学・子育て・教育・機械工学」など、各校の特色を活かした様々なテーマで講演が行われます。

三重大学からは教育学部の谷口あや助教が講師として登壇しました。講義は「現代の子育て家庭の現状」「これまでの子育てにかかわる心理学的研究」「父母で協力して育児を行うことの心理学的利点」「これからの子育てについて考える」の4部構成で行われ、現代の育児を取り巻く課題と今後の展望について、心理学の視点から分かりやすく解説がなされました。

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講義では、少子化の背景として、晩婚化や未婚率の上昇、経済的不安、女性の社会進出など、現代の子育て家庭が置かれている社会的環境が紹介されました。共働き家庭の増加や性別による役割分担の固定観念(アンコンシャスバイアス)も、育児の負担に大きく影響していることが指摘されました。

これまでの心理学的研究の多くは母親を主な対象としてきましたが、講義では父母が協力して子育てに関わることの重要性が強調されました。子どもへの関わり方としては、「ルールを守らせつつ、子どもの求めていることに答える」権威的態度が、自己制御や向社会的行動の発達にもっとも有効であるとされました。

また、父母それぞれの異なる関わり方が子どもに与える影響や、協力することで得られる相乗効果についても解説されました。一貫性と寛容さをもった接し方が、子どもの健やかな成長につながることが、心理学的研究に基づいて説明されました。また「父母」という枠組みにとらわれず、異なる養育スタイルをもつ複数の大人が関わることでも、同様の効果が期待できるという可能性も提示されました。

今後は家庭の中だけでなく、地域社会や企業、行政が連携し、子どもを社会全体で育てる環境を整えることの必要性があり、多様な立場の人々が関わり合いながら、次世代を育む仕組みづくりが求められていると語られました。

本講義を通じて、心理学の視点から子育ての実態と理想的な支援のあり方が多角的に示され、熱心に聞き入る参加者が多く見受けられました。

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