【プレスリリース】高い光安定性を持つDNA製蛍光標識FTOBを開発
生命科学研究や疾患メカニズムの解明には、タンパク質などの微細な動きをミリ秒単位で観察する高い時間分解能が求められます。既存のタンパク質標識は光安定性や明るさに限界があり、このような観察は困難でした。
東北大学学際科学フロンティア研究所の丹羽伸介准教授と北智輝大学院生を中心とした研究チームは、三重大学大学院工学研究科の鈴木勇輝准教授らと共同で、DNAを利用して作られた新しい蛍光標識「FTOB (Fluorescent-labeled tiny DNA origami block)」を開発しました。このFTOBは、従来の標識に比べて光退色や点滅が起きにくく、ALSなどの神経疾患の原因となるタンパク質の動きをミリ秒単位という極めて高い時間分解能で少なくとも数十分の長時間観察することが可能です。また、FTOBは「DNAオリガミ」という技術を用いてブロックのように自由に組み替えられる設計になっており、細胞分裂のような生命現象や、アルツハイマー病やガンといったさまざまな疾患に関わるタンパク質の研究に幅広く応用できる可能性があります。
本成果は、米国東部時間2025年2月11日に学術誌Cell Reports Physical Scienceにオンラインで掲載されました。