【プレスリリース・研究成果】水稲に秘められた未知の能力を解き明かす
三重大学大学院生物資源学研究科の関谷信人教授と近藤誠准教授の研究グループは、子実が少なく茎葉の多い飼料用の水稲品種が巨大な根(根系)を形成し、そこへ多量のデンプンや窒素成分を蓄積することを発見しました。日本の水田の一部では、牛の飼料として使われる水稲が栽培されています。これは国内産の飼料の供給とともに水田の有効活用につながっています。しかし、この特徴的な水稲に関する科学的な研究は限定的で、特に灌漑水と土壌に覆われた器官である水稲根系の調査は非常に煩雑で多大な労力を要するため、根系の特徴は不明なままでした。研究グループは、この飼料用水稲が通常の品種の2倍以上の根系を発達させることを明らかにし、さらにデンプンや窒素成分が蓄積することを世界で初めて突き止めました。巨大根系の構造を構成するセルロースや、そこに蓄積した多量のデンプンは土壌微生物の餌となり、窒素成分は翌年に栽培される水稲の重要な養分となります。すなわち、飼料用水稲を栽培することは、茎葉部を乳牛の飼料として供給できるだけではなく、養分が蓄積した巨大根系により堆肥を施したような効果も発揮され、これからの持続的コメ生産に重要な働きをすることが期待されます。本研究の成果は2024年7月1日に国際学術誌「Field Crops Research」にオンライン掲載されました。
詳しくは、三重大学Rナビ プレスリリースをご覧ください。
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