【プレスリリース・研究成果】シリカがタイヤを高性能化する秘密を中性子と水素のスピンで解明
自動車用タイヤでは、ゴム材料をシリカナノ粒子に結合させることにより分子間の滑りを減らし弾性を高めることで燃費性能を向上させています。
元々、ゴムとシリカは結合どころか混ざり合わせることすら容易ではありません。そこで、カップリング剤を添加します。カップリング剤が界面でゴムとシリカ双方と強く結びつくことで両者は強く結合します。しかし、これまでそのカップリング剤による結合を確認する手法がありませんでした。
そこで今回、我々が開発した中性子と水素のスピンを利用した「スピンコントラスト変調中性子反射率法」により、ゴムとシリカの界面に生成する厚さわずか2 nmのカップリング剤の単分子層を観測し、その厚さ・組成・界面状態からゴムとシリカの分子レベルの結合状態を決定することができました。
「スピンコントラスト変調中性子反射率法」は、ゴム材料だけでなく、今後さまざまな複合材料の界面状態の研究に貢献することが期待されます。