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【プレスリリース・研究成果】ゼブラフィッシュで糖尿病性腎症の治療を―糖尿病性腎症モデルゼブラフィッシュの構築―

糖尿病の進行とともに腎臓の濾過機能を担当する糸球体が破壊され、蛋白尿・ネフローゼ症候群となります。私たちは2017年に発表した世界初の2型糖尿病モデルゼブラフィッシュをベースに、糖尿病性腎症モデル、zMIR/VDBPゼブラフィッシュを構築しました。

zMIR/VDBP系統は糖尿病が進行するにつれ、腎臓糸球体に障害が起こり、蛋白尿を発症します。蛋白尿に蛍光タンパク質EGFPを発現させることにより、飼育環境内(水槽内)に出てくるタンパク尿の量を測定可能にしました。腎臓の病理組織学的検査では、糸球体基底膜の肥厚、足突起の消失、および糸球体硬化症などの患者に類似した特徴を示しました。腎臓のRNAシーケンシング解析の結果、このゼブラフィッシュの腎臓は患者に見られる遺伝子発現パターンと類似していました。特に、初期段階で観察されるホスファチジルイノシトール3キナーゼ(PI3K)/プロテインキナーゼB(Akt)シグナル伝達経路が活性化されており、さらに血糖降下薬メトホルミンはAktのリン酸化を調節することにより、このゼブラフィッシュの高血糖およびタンパク尿を改善しました。

本研究の成果は、zMIR/VDBPゼブラフィッシュが人間の糖尿病性腎症の発症・進展メカニズムを解明し、その治療法開発のための強力なツールとなることが期待されます。

詳しくは、三重大学Rナビ プレスリリースをご覧ください。
https://www.mie-u.ac.jp/R-navi/release/cat680/post-79.html

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