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忍者・忍術学講座を開催しました

伊賀連携フィールド 2023年度後期市民講座「忍者・忍術学講座」を開催しています。
12月23日(土)は、人文学部の吉丸雄哉教授が「文芸における徳川家康と忍者」をテーマに講演しました。

講演の様子

講演では、戦国の革命者織田信長、派手な立身出世譚の豊臣秀吉に比べて、長生きで天下を勝ち取った徳川家康は地味で、出版統制もあって有名な軍記もないので、その事蹟が信長や秀吉より広まりにくく、創作にも登場しにくかったこと、また、武士の中の武士であり、早くから神格化されていたため、江戸時代に卑怯だと思われていた忍びをつかうことは公的な記録では触れられないことが多く、忍術書でも家康が忍びを使うとは書かないようにしていたことなどが話されました。しかし、実際には家康が忍びを駆使して戦国を勝ち抜いたのは間違いなく、そのため、情報戦の勝利である小牧・長久手の戦いを検討し、江戸時代ではどのように記録されていたのか、さらには時代小説がどのようにそれを活用して執筆されたのかが確認されました。公的なものは中入り軍の移動について篠木の住民が報告し、家康の忍びの利用を認めないものが多いですが、伊賀者が活動したという記録もあり、『改正三河後風土記』では服部平六という名前まで認められます。近代における山路愛山の評伝や吉川英治・山岡荘八・司馬遼太郎らの小説は江戸時代までの資料に忠実にもとづいていることもわかりました。

講座は1月初旬に、三重大学国際忍者研究センターのYoutubeチャンネルでも公開予定です。
https://www.youtube.com/channel/UCxJ3j5Biul-FH_jE0CxQhpQ