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国際NGO職員によるタイ・バンコクからの同時双方向授業を行っています(教養教育)

 三重大学教養教育の二つの理念の一つである「グローバル化に対応する力を育成する」ことを目指し、国際理解に関する授業を充実させるための様々な取り組みをこの間行ってきました。本年度の前期からコロナ禍によって実施することになったオンライン授業に関して様々な意見はありますが、一方で、これまでも構想はあったものの様々な制度上の制約で実現に至らなかった遠隔地(海外)からの同時双方向による授業がようやく実現しました。2020年後期の授業として、NPO法人メコン・ウォッチ理事の土井利幸氏(タイ・バンコク駐在)に、国際理解特殊講義(授業テーマ:世界が違って見える)をご担当いただいています。土井氏の国際社会での20年にわたるNGO職員としての豊かな経験と知見に基づき、授業では、疫病の発生、先住民族の世界観、人種・性差別、若者と政治といった多岐に及ぶグローバルな現象について、様々な「視点」から理解することを目指しています。ある回の授業では、アメリカのSF作家アシュラー・クローバー・ル=グウィンの短編「オメラスを歩み去る人々」を読書課題とし、正義という「視点」から児童労働、奴隷労働、動物実験について受講生と共に検討しました。また、年末の授業では、インド北東部のナガランドからナガ族のゲストを招き、現地から生の声を聞くことができました。国際NGO職員による授業ならではの内容となり、受講生にとっては貴重な体験になりました。

 対面では実現困難な授業がオンライン同時双方向授業により可能となりました。このような授業を新型コロナ感染症収束後も継続・拡大することができればと願います。危機的な状況になると必然的にイノベーションが起こることを、我々人類はこれまでも経験してきました。日本の大学もコロナ禍により、新しい大学教育のあり方を手に入れつつあるのではないかと思います。

 なお、授業に関して、受講生からは次のような感想・意見があります。

 「やはり対面授業を受けたい気持ちはありますが、他国にいらっしゃる先生の授業、他国からの"ゲスト"はオンライン授業ならではのものであり、大変有意義な授業と感じています。」

 「マス・メディアを介さずに直接海外の生活に触れられたことが良い刺激になっています。」

※三重大学教養教育の理念とカリキュラムについては以下をご参照ください。

https://www.ars.mie-u.ac.jp/about/curriculum/

【文責:三重大学教養教育院副院長 綾野誠紀】

土井講師
土井利幸講師(NPO法人メコン・ウォッチ理事)

ナガ族のゲストを招いた授業の一コマ
ナガ族のゲストを招いた授業の一コマ(インド北東部のナガランドから)

受講する学生受講する学生
ナガ族のゲストを招いた授業の一コマ(受講生)