令和7年度第3回三重大学記者発表を開催しました
10月19日(水)、「令和7年度第3回三重大学記者発表」を数理・データサイエンス館にて開催しました。記者発表は、本学の近況や教育・研究・診療など様々な活動を報道機関の方々に紹介するため開催しています。
今回は、以下の事項について発表を行いました。

左:会場の様子、右:(左)伊藤正明 学長、(中央)福録恵子 副学長(広報/国際担当)、(右)荒尾浩子 学長補佐(広報担当)
♦MUDX Initiativeの発足 ~三重大学の力を結集した、地域の医療と医学の発展に向けて~(発表資料)
三重大学では、令和7年10月1日に本学研究基盤推進機構内に、新組織「MUDX Initiative(Mie University medical Digital Transformation Initiative)」を設置しました。本組織は、医療と医学研究のデジタル化を推進する大学横断的な拠点として、教育・研究・社会実装を一体的に展開していく組織です。
三重県民の健康増進と健康寿命の延伸を目的に、ウェアラブルデバイスやPHRを活用した健康関連デジタルデータの収集・解析を推進し、医療機関と患者をつなぐクラウド型情報基盤の整備、遠隔医療やAIによる疾患リスク判定の高度化、次世代データサイエンスに基づく個別化医療の研究を展開することを計画しています。また、医療人材のデジタルスキル育成を図る教育プログラムやリカレント教育の実施を通じて、産学官金連携による包括的な取り組みを進めていきます。

(左)佐久間 肇 理事(附属病院/研究企画戦略担当)・副学長・附属病院長、
(中央)北川 覚也 教授(研究基盤推進機構 MUDX Initiative)、
(右)杉谷 侑亮 助教(研究基盤推進機構 MUDX Initiative)からの発表
♦地域共創プロジェクト「志摩地域における共生共学の実践の保存と継承」について(発表資料)
三重大学では、三重県内の各地域に設置されている大学と地域社会をつなぐ活動拠点である「地域拠点サテライト」を活用した地域貢献プロジェクトを行っています。今回は、その地域貢献プロジェクトの中から、教育学部 栗田季佳 准教授が本学学生とともに行っている、志摩地域における「共生共学」の保存と継承についてのプロジェクトをご紹介しました。
志摩地域は近辺に特別支援学校がなく、また同和地区があり反差別に基づく教育実践が盛んに行われていた背景がありました。また、1980 年代には、障害を持った児童を抱えるクラスの教師らが子ども、保護者、地域の人々とつながり、そのつながりを広げて深め、活発に展開していました。しかし、このような志摩地域の共生共学(多様な人々が互いに尊重し合い、共に生き、共に学び合う教育)の実践はほとんど知られておらず、中心を担っていた教師らの退職により、現場の記憶も薄れていっている現状がありました。そこで、本プロジェクトでは、実践を担った教師を中心にインタビューを行ったり、フィールドワークを行うなどして、記録化による記憶の継承、エンパワメントを行い、ダイバーシティ&インクルージョン時代の教育実践者の育成を目指しています。

(左)栗田 季佳教育学部 准教授、
(右)金子聡 理事(研究・社会連携/グローバル化担当)・副学長からの発表
♦工学部入学者選抜における女子枠の導入について(発表資料)
現在、工学系全体の女子学生の割合は、三重県のみならず全国的に低い状況にあり、文科省が実施している「学校基本調査」によると、電気電子系、情報系の女子学生の割合は全国で11%程度です。
本学では令和7年度に、工学部総合工学科電子情報工学コースの入学者選抜において初めて「女子枠」を導入し、このコースの入学者における女子学生の割合は24%と、比較的高い割合となり全国平均を上回りましたが、欧米諸国と比べると未だ低い状況です。そして今回、令和10年度入学者選抜より、工学部総合工学科情報工学コースにおいて、新たに「女子枠」を導入することを決定しました。
厚労省によるとIT人材の供給は2030年までに最大80万人程度不足すると推計されており、女性情報系人材の輩出は東海エリアの中核大学の一つである三重大学において、地域ニーズに応えることは重要なミッションであると考えています。

(左)林田祐樹 工学研究科副研究科長・教授、(右)湯浅陽子 理事(教育担当)・副学長からの発表
♦【三重大学×四日市市】産学官連携による人材育成事業の展開について(発表資料)
これまで三重大学は四日市市にある「北勢サテライト」を拠点に、北勢地域における産学官連携活動を展開してまいりました。また、四日市市では、市の強みである「ものづくり」を支える人材の育成・確保や、産業の基盤を支える研究活動の活性化が不可欠であり、そのためにも知の拠点である大学との連携が重要となっていました。
この度、四日市市は産業都市としての持続的発展を目指し、これまでの取組みを強化し、産学官連携による人材育成事業を実施することとなりました。同事業において、本学はこれまでの実績を活かし、今年度から、工学部を中心として四日市市に本社を置く企業に特化した長期インターンシップ事業や、研究紹介事業を開始し、四日市市における産業人材の定着、四日市市の産業界との連携強化に向けて取り組んでまいります。本学は、この取組を通じてさらに四日市市との連携を密に、四日市市に拠点を置く企業等との協働により、産業都市を支える人材育成に力を尽くしてまいりたいと考えています。
なお、本事業は、四日市市と本学が協力し、国の新しい地方経済・生活環境創生交付金(第2世代交付金)に応募し、本年9月に本交付金の採択に至り、実施するものです。
(左)荒木秀訓 四日市市副市長、(中央)伊藤正明 学長、
(右)金子聡 理事(研究・社会連携/グローバル化担当)・副学長からの発表



