【プレスリリース・研究成果】難病の原因を解明~難治性血管奇形の発生起源と低酸素シグナル伝達機構の解明~
三重大学・大阪大学・慶應義塾大学・国立循環器病研究センター・神奈川県立こども医療センターの共同研究グループは、PIK3CA(H1047R)遺伝子変異によって生じる難治性血管奇形について、胚発生段階の細胞起源が病変の発生部位を決定することと、正常な酸素分圧下でも以上に活性化した低酸素シグナル伝達が本病態の形成に深く関わることを明らかにいたしました。
本研究では、マウスを用いて単一細胞RNA-seqや分子解析を実施し、HIF-1αなどの低酸素誘導因子に関連する遺伝子の発現が上昇し、その刺激に応じて血管やリンパ管の増殖を促進するVegf-Aなどの脈管増殖因子が増加することが明らかになりました。さらに、ヒト患者検体においても、マウスモデルと同様にVEGF-AやHIF-1αが過剰に産生されることが確認されました。マウスモデルでHIF-1αやVegf-Aを抑制する薬剤の投与により、血管・リンパ管奇形の進行が有意に抑えられる可能性が示唆されました。
本研究の成果は日本時間2025年4月16日付けでEMBO Molecular Medicineに掲載されました。