リサーチコアセミナー(第9回)を開催しました
7月31日(水)事務局会議室において、研究紹介企画「リサーチコアセミナー」(オンライン併用型)を開催しました。
この企画は、学内の多様な研究者を知り、相互に研究内容の理解や研究者間の交流を深めることを目的として開催しています。
9回目となる今回は、戦略的リサーチコアの卓越型領域である「半導体の結晶科学とデバイス創製センター」の三宅秀人センター長(工学研究科・教授)から「オンリーワンの窒化物半導体研究と産学官連携への展開」と題して、研究の背景や現在取り組んでいる研究内容が紹介されました。
会議室には、学長、吉岡理事、鶴原理事、酒井理事、佐久間理事、服部監事、織田島事務局長や研究・社会連携統括本部の教員が集い、オンラインを含めて38名の参加がありました。
新型コロナウイルス感染症の影響により、紫外線殺菌の需要が急速に拡大しました。従来の紫外線光源は水銀ランプが主流でしたが、深紫外発光ダイオード(DUV-LED)への期待が急速に高まっています。
殺菌やウイルスの不活化に効果的な波長265nmの紫外線を照射するLEDでは、高価な基板が必要とされますが、「三宅方式」により、安価なサファイア基板を用いて高品質な結晶を作り出すことが可能となりました。これにより、波長265nm帯の発光効率(外部量子効率)8.0%という世界最高の効率が達成されています。この波長は新型コロナウイルスの不活性化にも効果的であり、この研究成果は、オンリーワンの技術として世界中で注目されています。
三宅教授が、現在、注力しているのは、さらに波長の短い220-230nmのLED(Far UVC-LED)です。265nmの波長は殺菌に効果的ですが、同時に人体にも影響を及ぼす可能性があります(日焼けや皮膚がん、白内障など)。一方、220nm帯の波長は角質層や目の角膜で吸収されるため、人にやさしい紫外線とされています。この研究は世界中で活発に進められており、我々も常にトップを競い合っている状況です。
講演では、半導体の結晶科学とデバイス創製センターが目指しているものについて、4つの軸(学術成果(論文)、社会的インパクト、社会実装、地域貢献)に基づいてR5年度の実績が説明されたあと、今年度はこれまでの研究を基盤に、学内外の大学・研究機関、さらには海外の大学とも連携しながら研究力を強化し、世界をリードしていくことが熱く語られました。
続いて行われた質疑では、「研究を進める上でのシミュレーションはどのようにしているのか」、「社会実装のところで、医療のほかにどういったところが考えられるのか」など活発な意見交換が交わされました。
参考:
三宅 秀人 教授(工学研究科)
科研DB: https://nrid.nii.ac.jp/ja/nrid/1000070209881/
researchmap: https://researchmap.jp/mie-opt
全学シーズ集: https://seeds.mie-u.ac.jp/seeds/1163.html