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リサーチコアセミナー(第3回)を開催しました

5月29日(水)事務局会議室において、研究紹介企画「リサーチコアセミナー」第3回を開催しました。
5月からスタートしたこの企画も3回目を迎えましたが、学内の多様な研究者を知り、相互に研究内容の理解や研究者間の交流を深めることを目指しています。今回もオンライン併用型で開催し、会議室には伊藤学長、吉岡理事、酒井理事、佐久間理事、織田島副理事や研究・社会連携統括本部の教員が集い、オンラインを含めて32名の参加がありました。

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第3回目に登壇頂いたのは、工学研究科 応用化学専攻 エネルギー変換化学講座 田港 聡 助教です。所属する講座は、長年にわたって蓄電池の開発を支える研究に取り組み、スマートフォンやEV・ハイブリッドカー等の中核機能となる蓄電池の材料開発において、社会の発展に貢献してきた実績を持つ講座で、田港助教は、日頃は無機固体化学、電気化学、蓄電池を専門とする中、電極と電解液の界面に着目しつつ、無機物質の作成とその反応の解析等に取り組まれています。

この日の研究紹介では、市販電池の開発企業との共同研究も含め、無機物質の電極材料と金属電極の研究に関して、新たに採択された科研費の概要に沿って、「蓄電池の高エネルギー密度化に向けた電極材料・反応の検討」と題してお話をしていただきました。

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研究計画の背景として、カーボンニュートラルといった国際的な環境問題への対策が急務となる中、自動車の分野では化石燃料を原料とする内燃機関から動力源の転換が迫られています。14億人超の人口を有する中国では、2015年以降、EV・PHVへ急速な転換が進むなど、エネルギーの缶詰と言える蓄電池に対して、高エネルギー密度化(容量×電圧)への開発要求が高まっている現状があります。

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この社会問題とニーズへ対応する上で、動作中における電極材料の副反応など克服すべき課題はありますが、田港助教の研究では、酸化物正極材料の高容量化と金属リチウム負極の使用の実現によって、リチウム二次電池の高エネルギー密度化の実現を目指すものです。今回採択された科研費の研究計画では、高容量と高可逆性・サイクル性(高寿命)を両立する新たな正極物質と構造の創出を目指すものです。容量は小さくても可逆性を高める構造は、単相よりも二相であることから、これまで着目してきた界面の果たす役割にフォーカスしつつ、高容量と高可逆性の両立を目指した構造の解明に挑戦することとなりました。

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続いて行われた質疑では、日本と海外との電池研究に関する現状や、安全保障と研究の推進に関する現状などについて質疑が行われ、制限のない自由な研究環境への期待が共有されました。また、このセミナーの初めての展開として、田港助教とは面識のないオンライン参加者からの質問もあり、この企画の目的である研究者間の関係性が広がる場面がありました。

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田港 聡 助教(工学研究科)
 科研DB  https://nrid.nii.ac.jp/ja/nrid/1000060771201/
 researchmap  https://researchmap.jp/60771201
 全学シーズ集 https://seeds.mie-u.ac.jp/seeds/1340.html


次回は6月12日(水)8:50より、工学研究科の内海 裕洋 准教授による「揺らぎを活用したナノ量子素子回路計算機の理論」(仮題)を予定しております。どうぞご期待ください。
多くの皆様のご参加をお待ちしています。

内海 裕洋 准教授(工学研究科)
 科研DB  https://nrid.nii.ac.jp/ja/nrid/1000010415094/
 researchmap https://researchmap.jp/read0136593
 全学シーズ集 https://seeds.mie-u.ac.jp/seeds/1146.html