リサーチコアセミナー(第6回)を開催しました
7月3日(水)事務局会議室において、研究紹介企画「リサーチコアセミナー」(オンライン併用型)を開催しました。
この企画は学内の多様な研究者を知り、相互に研究内容の理解や研究者間の交流を深めることを目指して5月からスタートし、今回で6回目となります。
会議室には学長、吉岡理事、鶴原理事、酒井理事、佐久間理事、織田島局長や研究・社会連携統括本部の教員が集い、オンラインを含めて38名の参加がありました。
第6回目に登壇頂いたのは、生物資源学研究科 森林微生物学研究室の松田陽介 教授です。
「なぜ森はいつも青々としているのか?」と題して、研究の背景や今年度採択された科研費・基盤Bの研究内容を説明されました。
松田教授は"森林生態系を地面から探る"という狙いを持ち、土の微生物を通して森を理解しようとされています。この日の研究紹介の中では、スギの根に共生する微生物「アーバスキュラー菌根菌」が、土壌の養分をスギに供給し、スギの成長が促進されることで森の健康が維持されるとの説明がありました。
続けて、今年度採択された科研費・基盤Bの研究計画として、スギの根圏(スギの細根の周辺の土壌)に生息する微生物、そして、それらを食する線虫らが協力してスギの成長を助けるメカニズム(根圏コンソーシアム)における窒素循環の解明を目指す取組の説明がありました。
今年も猛暑が予想される中、菌根菌がスギの成長を支え、スギは大気中の二酸化炭素を吸収することで気候変動の緩和にもつながり、また、さらに根に潜む微生物を調査することで新薬が開発されたりと、土壌の微生物は多様な可能性を秘めています。
続いて行われた質疑では、「なぜ、根っこは力強い生命力があるのか」、「コンソーシアムの連関行動には、気候変動も影響するのか」、「土壌の微生物をコントロールして特定の微生物を増加できるのか」、「花粉症にも土の微生物・菌が関連するのか」など、活発に意見が交わされる中、「次回、大型プロジェクトを共同で実施したい」という、この企画の目的である研究マッチング的な場面がありました。
まさに今、緑まぶしい季節。気候危機の打開の象徴として、青々とした森の姿があります。その姿は日ごろ目にすることのない土壌の微生物たちの活動のおかげだということを理解したセミナーでした。
参考:
松田 陽介 教授(生物資源学研究科)
科研DB: https://nrid.nii.ac.jp/ja/nrid/1000030324552/
researchmap: https://researchmap.jp/read0056107
全学シーズ集: https://seeds.mie-u.ac.jp/seeds/1281.html
今西 誠之 教授(工学研究科)
科研DB:https://nrid.nii.ac.jp/ja/nrid/1000020223331/
Researchmap: https://researchmap.jp/n.imanishi
全学シーズ集: https://seeds.mie-u.ac.jp/seeds/1166.html
次回は7月17日(水)8:50より、エネルギー材料統合研究センター(卓越型リサーチセンター)センター長 工学研究科の今西誠之教授 を予定しております。どうぞご期待ください。
多くの皆様のご参加をお待ちしています。