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【三重大学の授業紹介 #37】工学部における「計算機援用工学」

10月27日(金)、工学部12番教室にて、総合工学科機械工学コース3年次の選択科目である「計算機援用工学」(担当:稲葉忠司 教授)の授業をハイブリッド形式(「対面授業」と「オンライン授業」の併用)で開講しました。

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物体に荷重が加われば、応力(物体が力を受けた時に物体内部に発生する単位面積当たりの力)が生じます。設計の基礎となる強度計算において、まず第一に行われるのは、この応力を求めることです。応力を求める従来の手法は、機械や構造物に負荷が加わったときの力の伝わり方や変形を解析する学問である材料力学がその中心でした。材料力学は、その対象とする物体が、弾性状態であるか塑性状態であるかなどによって、その基礎を弾性論や塑性論においています。しかし、従来の方法で解が得られるのは、はりや柱の応力、無限版に円孔がある場合の応力分布など、ごく限られた問題に対してだけであり、複雑な形状のものに対しては、形状から応力の生じそうな部分を経験的、実験的に求め、その部分の応力集中率を何とか知るのにとどまっていました。これに応えて現れたのが、有限要素法です。有限要素法は複雑な形状や材質の物体や構造物の解析を行うために用いられる数値解析の一種であり、原理的にはどのような形状のものでも扱えること、3次元解析、弾塑性解析などが容易であることなど、多くの魅力ある特色をもち、工学分野で欠くことのできない手法となっています。
本講義では、弾性問題を対象とした有限要素法の基礎理論を学ぶとともに、汎用有限要素ソフトウェアを用いた応力解析実習を通じて、計算機を援用した強度設計について体得することを目的としています。

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第3回の授業では、学生各自のパソコンにインストールされた有限要素ソフトウェアのプリプロセッシング(入力データ作成)について説明がなされるともに、課題として事前に準備した材料力学の知識を用いたはりの応力とたわみの理論計算結果を、有限要素ソフトウェアを用いて数値解析的に求める方法が解説されました。

有限要素ソフトウェアは大学の学習のみで使えるものではなく、卒業後エンジニアとして技術開発に携わる際にも活用することのできる実践的なものを用いています。ソフトウェアの使用方法についてただ説明するのみではなく、ハイブリッド形式の授業であることを活かして画面共有することで、先生の画面を直接見ることが可能であったため、学生たちは直感的に理解できている様子が見られました。本講義を受講した学生が将来、有限要素法の理論を理解するだけにとどまらず、実践的な学問として体得したエンジニアとなり活躍することを期待しています。