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「教養の松」の歴史を年輪から辿ってみました

「教養の松」は三重大学教養教育棟1号館の正面脇にあったクロマツで、教養教育院のシンボル的な存在でしたが、松枯れのため2021年1月に伐採されてしまいました。教養の松はキャンパス内でも有数の大木の1つであり、長年親しまれた木でもあったことから、伐採の際、年輪サンプルを入手し、その歴史を辿ってみました。

年輪を数えた所、マツの年齢は83歳(1937年生)~87歳(1933年生)と推定されました。古い写真を探すと、教養の松が現在のような建物脇の位置に立っている写真は1971年まで辿れました。1965年の写真は上浜キャンパス造成工事前でまだ教養教育院の建物はありません。国土地理院の1979-1983年の地図(空中写真)には、教養の松が写っていたので、同じ位置を1961-1969年の地図上に示すと、造成工事前のグランド沿いにあった並木の、曲がり角の辺りとなりました。このことから、元々あった松並木のうちの角に近いマツの1本がキャンパス整備時に残されて、教養の松となった可能性があると考えられました。詳細な解析結果は別途発表の予定です。

クロマツは海岸に多くみられる木で、キャンパス設立当初の写真には、至る所にクロマツが写っています。三重大の原風景を残すためにも、今後もキャンパスに残るクロマツを大切に守っていきたいと思います。

在りし日の教養の松
在りし日の「教養の松」(2016年7月)

1971年の教養の松
上浜キャンパス1971年の写真(「三重大学五十年史」より)。赤丸内が「教養の松」とみられる。

地理院地図1979―1983年の上空写真(教養の松)
地理院地図1961-1969年の上空写真(教養の松)

(上)地理院地図1979―1983年(下)同1961-1969年の写真。十字は34度44分43.38秒, 136度31分28.52秒を示す。
(上)の赤い矢印は教養の松の位置、(下)の矢印は同じ場所を示す。
※掲載するにあたって上記画像は加工済みのものです