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慢性疼痛ワークショップをオンラインで開催しました

8月19日(水)~21日(金)の3日間、文部科学省・課題解決型高度医療人材養成プログラム「地域総活躍社会のための慢性疼痛医療者育成プログラム」(以下、本事業)のワークショップを開催しました。本事業は鈴鹿医療科学大学との合同で実施しており、今年で4回目です。
本学の学生27名(医学部医学科、 看護学科)と鈴鹿医療科学大学の学生35名(保健衛生学部:医療栄養学科管理栄養学専攻、医療栄養学科臨床検査学専攻、リハビリテーション学科理学療法学専攻、リハビリテーション学科作業療法学専攻、医療福祉学科臨床心理学専攻、鍼灸サイエンス学科、薬学部:薬学科)の計62名が参加しました。
本事業は、例年、鈴鹿医療科学大学白子キャンパスにて対面で開催していたのですが、今年は新型コロナウイルス感染拡大を受け、オンラインにて開催することとなりました。オンラインでも充実した学びとなるよう、担当教員が工夫と検討を重ねながら、オンライン用のプログラムを作成しました。

1日目は「痛みに対する生活者としてのアプローチを学ぶ」ことを目的とし、東洋医学(漢方、鍼灸、薬膳)や心理、理学についての講義や体験を行いました。例年、鍼やお灸に触れたり、人形を使って腹診を行ったりと、各分野の体験学習を実施していました。今年はオンライン環境下のため、動画で漢方薬を見たり、マインドフルネスやセルフストレッチングなど、画面の前で、1人で行える体験学習を実施したりしました。

オンライン講座の様子

【オンライン講義の様子】

漢方薬を煎じる様子を動画で説明

【漢方薬を煎じる様子を動画で説明】

ストレッチ体験

【ストレッチ体験】

2日目は「チーム医療の基礎となる"チーム"について考える」ことを目的に、大手企業の集合研修などビジネスの現場でも導入される体験型アクティビティを実施しました。この日のプログラムは、株式会社ウィル・シード協力のもと、オンライン用の新たなアクティビティの開発など、コロナ禍に合わせた演習内容としました。また、普段、医療従事者として働く教員も、学生と共にチームについて学びました。

2日目後半と3日目は「慢性痛をもちながら暮らす人への支援」について学ぶことを目的に、慢性疼痛の模擬症例に対して多職種のグループで援助策の検討を行いました。グループワークはZoomの「ブレイクアウトセッション」機能を活用して実施しました。学生は、1日目、2日目で得た知識や経験を活かしながらグループディスカッションを進めていました。また、「オンライン診療」という設定のもと、模擬症例に問診や援助策提案するロールプレイも行いました。医療者役の学生は、真に迫った模擬患者の訴えに対し悪戦苦闘しながら、チームで話し合った治療方針について懸命に伝えていました。
ワークショップ終了後には、前年度までの受講生で結成された「学生サポーター」による学生交流会も開催しました。学部学科を越えた交流がさらに生まれ、笑顔溢れる会になりました。

模擬症例の初診の動画

【模擬症例の初診の動画】

グループワークは、Zoomブレイクアウトセッションを使い、4~5名のグループに分かれて行いました。最初は慣れないオンラインでのコミュニケーションに戸惑っていた学生も多かったですが、次第にグループが温まっていき、討論の質も高まっていきました。学生は画面共有機能を使って、Wordやメモ帳などを共有し、グループの意見をまとめたりしていました。また、講義の時には、チャット機能を使って学生の意見を聞いたり、質問を受け付けたりしました。普段大人数の講義ではなかなか質問できない学生でも、チャットであれば気軽に聞くことが出来るようです。
このようにオンライン環境下でも充分有意義なワークショップになることが分かっただけでなく、オンラインだからこそ得られるメリットも多く発見できました。

画面共有を使ってグループ意見をまとめる学生

【画面共有を使ってグループ意見をまとめる学生】

学生アンケートでは、「オンライン講義だったが、グループワークや体を動かす運動などがあったので、積極的に取り組みやすかった。」「グループの人たちとしっかり交流出来た。」などの意見の他、「自粛が続く中、初対面の人と話す機会があって良かった」といったコロナ禍での交流を喜ぶ学生もいました。

多専攻の学生が「慢性疼痛」という大きな課題について体験的に学び、また、チーム医療について考え実践するような授業は、全国的にあまり見ない、貴重な試みです。今後も地域医療に貢献できるような慢性疼痛への専門的な知識を有した医療職育成に努めていきたいと考えております。

<関連HP>
・三重大学・鈴鹿医療科学大学合同事業
「地域総活躍社会のための慢性疼痛医療者育成プログラム」紹介HP
 https://www.hosp.mie-u.ac.jp/chrpain/ 
・三重大学医学部附属病院 痛みセンターHP
 https://www.hosp.mie-u.ac.jp/bumon/pain_center/