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ゲルのやわらかさを決める「負のエネルギー弾性」の起源を解明

2023.4. 5

研究の概要


三重大学 情報教育・研究機構 総合情報処理センターの白井伸宙助教と東京大学大学院工学系研究科の作道直幸特任准教授が、ゲルのやわらかさを決める「負のエネルギー弾性」の起源を解明しました。ゲルはゼリーやソフトコンタクトレンズなど、ぷるるんとした食感・触感が特徴の水分を含んだ物質です。ゲルの食感・触感を決める弾性率は、100年近く、エントロピー変化によるエントロピー弾性で説明されてきました。ところが近年、ゲルはエントロピー弾性に加えて、大きな「負のエネルギー弾性」を持つことが明らかになりました(図1)。
本研究では、ゲルの網目(あみめ)を構成する1本のひも(高分子鎖)に注目し、数学的な理論解析により、負のエネルギー弾性はひもと水(溶媒)が引き合う力(引力相互作用)に由来することを明らかにしました。この結果は、負のエネルギー弾性が特定のゲルに限られた性質ではなく、私たちの生活を取り巻くゲルが一般的に持つ普遍的な性質であることを示しています。本研究は、ゲルの弾性率(かたさ・やわらかさ)を理解するための新理論構築への第一歩であり、将来的にゼリーの食感や医療材料の触感の理論的な予測や制御につながると期待されます。
本研究成果は、米国物理学会発行の学術誌Physical Review Lettersに2023年4月4日(米国東部時間)にオープンアクセス(閲覧無料)で掲載されました。

詳しくはこちらをご覧ください。

【論文情報】
掲載誌:Physical Review Letters
掲載日:2023 年 4 月 4 日(米国東部時間)
DOI 番号: https://doi.org/10.1103/PhysRevLett.130.148101
論文タイトル:Solvent-Induced Negative Energetic Elasticity in a Lattice Polymer Chain
著者:Nobu C. Shirai, Naoyuki Sakumichi

図1:ゴムの弾性とゲルの弾性の比較JPG


研究者情報


三重大学 情報教育・研究機構 総合情報処理センター 助教
白井 伸宙(Nobu C. Shirai)

東京大学大学院工学系研究科 特任准教授
作道 直幸(Naoyuki Sakumichi)