- 三重大学長ブログ -

三重大学長ブログです。

令和4年度三重大学入学式を挙行しました。

本日、4月8日(金)、桜の見頃のタイミングにはほんの少しだけ遅かったのですが、晴天の春の日、令和4年度入学式を挙行しました。

人文、教育、医学、工学、生物資源の5学部には、1390名、人文社会科学、教育学、医学系、工学、生物資源学、地域イノベーション学の6研究科には、修士課程376名、専門職学位課程21名、博士課程57名、合計1844名の皆さんが入学されました。
ご入学おめでとうございます。
COVID-19のため、感染対策を十分に講じて、大学院入学式そして学部入学式は学部を分けて3回実施することとしました。

本学は、確かな世界観を持ち、グローバルなステージで活躍するとともに、地域社会をよりよくしようという「志」を常に大切にし、活躍してくれる人材が育ってくれることを期待しています。自然環境に恵まれたこの学問、研究の場で、皆さんが、それぞれの「夢と希望」をかなえるために、切磋琢磨していただきたいと思います。

本日から始まる三重大学での学生生活が、皆さんにとって、楽しく、そして有意義なものとなることを心より祈念しています。

伊藤学長

学生と役員 集合写真

応援団

合唱団

大学病院を有する太平洋沿岸の3大学が医療連携協定を締結

本日、3月31日(木)、藤田医科大学、浜松医科大学と三重大学の3大学は、大規模災害時における協力・支援に関する協定の締結式を行いました。南海トラフ地震などによる大規模自然災害に備え、災害時においても東海地方における高度医療を維持するため、3者が医療連携協定の締結し、各大学の病院が相互に協力及び支援し、地域の防災機能向上をめざします。

伊藤学長

サインする様子


主な取り組みは、
・災害時における高度専門医療を必要とする患者さんの相互受け入れ
・医療機器、医療設備・施設(病床・手術室等)及びその他応急物資の協力・支援措置
・医師及びメディカルスタッフ等の派遣措置
・防災ヘリコプターによる患者搬送を含む防災訓練の実施
などです。

本学は、防災に関して、三重県と共に「みえ防災・減災センター」を設置して災害に対する備えのための活動を行っています。医学部附属病院では、災害対策推進教育センターを設置し、災害医療の領域についての活動が既に始まっています。これからも、本学は、三重県を含む東海地区の皆さんの"安心・安全"のための取組を一層進めて参ります。

藤田医科大学 湯澤由紀夫学長、浜松医科大学 今野弘之学長及び両大学の関係者の皆様、本日は誠にありがとうございました。

三重大学の教職員の皆さん、防災減災に対する全員参加の取り組みを進めていきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

集合写真

三重大学の描く「みえの未来図」

昨日、3月29日(火)は、「みえの未来図共創DAY in 北勢」を、四日市市で開催しました。本企画は、本学の地域拠点サテライトのひとつである北勢サテライトでの各取組の報告と今後の展望に関する《北勢地域から描く、みえの未来図》と、三重大学大学院生物資源学研究科が、昨年12月に、生物資源学部の前身である三重高等農林学校として設立してから100周年を迎えた記念としての《生物資源学研究科 環境農林水産フォーラム in 北勢》の2部構成として開催しました。

三重大学は、この4月より始まる第4期において、「みえの未来図共創機構」を立ち上げ、地域の課題解決に参加させて頂くことにより、教育研究活動を高める地域共創活動を展開します。北勢サテライトはその中心でも益々重要な役割を果たすこととなります。

伊藤学長

みえの未来図共創DAYin北勢 会場の様子



また、本日、3月30日(水)は桑名市、地方独立行政法人桑名市総合医療センターと本学による新しい未来の共創に関する連携協定締結式を行いました。本協定により、来月から始まる第4期の地域共創活動として、北勢サテライト、桑名地域で新しい2つのプロジェクトを開始いたします。桑名市の伊藤市長が推進する「桑名オープンフィールド構想」を活かした連携のもと、本学における教育・研究活動プロジェクトを展開します。

一つは、桑名市のシティープロモーション活動に本学の学生が参画することにより、地域を知り、地域の具体的な課題に触れ、その解決を通して、実の社会を学ぶプロジェクトです。具体的には、桑名市におけるふるさと納税に関するプロジェクトをまず始める予定です。

もう一つは、医療DX(デジタルトランスフォーメーション)です。三重大学医学部附属病院、地方独立行政法人桑名市総合医療センターが連携して、医療、検診や予防などの領域でのDX化を推進することにより、市のウェルビーイングに貢献し、人口減少社会を見据えた社会基盤の高度化を構築するプロジェクトです。

本日の締結式に向けご尽力いただきました関係者の皆様に、厚く御礼申し上げます。また、プロジェクトが始まりましたら、多くの皆様にお世話になるかと思いますが、何卒よろしくお願いいたします。

関係者集合写真

協定書調印式にサインをする伊藤学長

本日は、学位授与式が執り行われました。

今年度は、大学院として、人文社会科学研究科11名、教育学研究科35名、医学系研究科33名、工学研究科200名、生物資源学研究科68名、地域イノベーション学研究科15名で、中国、ベトナム、インドネシア、メキシコ、ソロモン諸島、タンザニアからの留学生24名を含め計362名、学部では、人文学部284名、教育学部202名、医学部194名、工学部411名、生物資源学部255名で、ベトナム、中国、韓国、イギリス、ウズベキスタン、マレーシアからの留学生12名を含む計1346名の皆さんがご卒業されました。
おめでとうございます。

これまでのたゆまない努力と、ひとり一人がもつ素晴らしい個性と能力、そして、前途洋々たる将来の可能性に対して、心からの敬意と大きな期待を表したいと思います。また、これまで、惜しみない支援・励ましを続けてこられましたご家族の皆様にも、心よりお慶び申し上げます。この2年間は、新型コロナウイルス感染症への対策をしながら過ごした学生生活の中で、それぞれ素晴らしい学業の成果を上げられましたことをとても頼もしく思いました。

「三重の力を世界に」、皆さんのこれからのご活躍に期待しています。

最後になりますが、皆さんの未来が、前途洋々たる、すばらしい夢と希望に満ちていることを祈念します。
本日はおめでとう!

工学部の皆さんと

工学部の皆さんと


医学部看護学科の皆さんと

医学部看護学科の皆さんと

「令和2年度入学者の集い」を開催しました。

3月17日(木)、本学のシンボルである講堂「三翠ホール」の改修工事の竣工式がありました。そして、同日、改修を終えたばかりのこのホールで、「令和2年度入学者の集い」を開催しました。

三翠ホールは、平成7年の完成から25年以上が経ち、エアコンやトイレなどの老朽化が進んだことから、設備や内装の全面改修を行っていました。
昨年は、新型コロナウイルスワクチン接種会場としても本ホールを使用しなくてはなりませんでしたので、予定より少し遅れての改修工事開始となりましたが、今年度の学位授与式ならびにこの4月の入学式に間に合うタイミングで、ようやく完了しました。

竣工式の日に行われた「令和2年度入学者の集い」に集まったのは、文字通り、令和2年度に入学した学生です。この学年は、新型コロナウイルス感染症が原因で、一生の思い出となる大学入学式を執り行うことができず、我々教職員もずっと大変残念な思いで過ごしてきました。2年遅れで、入学式というには遅すぎますが、なにかその学年の学生のためにセレモニーができないかと企画されたものです。改修後の竣工式では、この令和2年度入学の皆さんと一緒にテープカットもしました。今回、元気な皆さんの姿を拝見させていただき、厳しい環境下でも学業に励み、逞しく成長してくれている姿に感銘しました。

4月には、大学として第4期の新しい中期目標・中期計画期間が始まります。三重大学もウィズコロナからポストコロナに向けた活動を展開します。学生皆さんにとって学業の場であるキャンパスでは、23号線に面した正門周辺整備、新第一食堂の建設、現第一食堂のサークル棟の改修などが、今後1年で行われる予定です。
まだしばらくは、新型コロナウイルス感染症の予防を心がけながらの学生生活が続くと思いますが、学生の皆さんに最大限のサポートを続けていきますので、よろしくお願いします。

下記のYouTubeチャンネルで三翠ホールのユニークな外観をご紹介しています。ぜひ一度ご覧ください。

https://www.youtube.com/watch?v=k3B8o593PWw

三重大学生の「Actする力」-環境ISO学生委員会-

今回は、学生が主体となって環境問題に取り組んでいる三重大学の「環境ISO学生委員会」の委員長、大向拓海さん(人文学部3年生)と、当委員会の部会の一つである「グリーンキャンパス部」の奥田久瑠美さん(生物資源学部1年生)に委員会の活動について、環境情報科学館でお話を伺いました。

奥田さんは、三重大学の2030年SDGs達成に向けたアイデアとして、三重大学のペットボトルのリサイクル率を100%にすることを掲げ、先日表彰されました。そこで、奥田さんの所属する環境ISO学生委員会について、今回インタビューすることとなりました。

この「環境ISO学生委員会」は、三重大学が環境マネジメントに関する国際的な認証規格であるISO14001を取得するにあたり、学生視点からも環境問題を考え、対策に取り組めるよう2006年2月21日に設立されました。本来は2年生が中心メンバーですが、コロナ禍の影響で現在は3年生が中心となっています。

今や環境問題は待ったなしで、SDGsでも重要なテーマに挙げられています。カーボンニュートラルへの対応など、我々一人ひとりが持続的にしっかりと取り組んでいかなければなりません。三重大学は、環境先進大学として活動を続け高い評価を受けていますが、それを学生の立場から支える素晴らしい活動をご紹介します。

環境ISO学生委員会は、「執行部」、「グリーンキャンパス部(3R班、自転車班、緑化班)」、「地域連携部」、「広報部」、「イベント企画部」、という組織で活動しています。
今回お話を伺った大向さんは、全体を取りまとめる執行部の委員長で、先輩に誘われてこの活動に参加するようになったそうです。
また奥田さんは、ご自身の育った環境からリサイクルなどの取り組みに以前から興味を持っていて、卒業生が使わなくなった家具・家電を新入生に譲るリユースプラザで環境ISO学生委員会と接したのが、本活動に参加するきっかけだったそうです。

奥田さんの所属するグリーンキャンパス部の活動の中心は、3R(Reduce、Reuse、Recycle)です。具体的な活動内容は、生協で販売されているお弁当のリ・リパック(容器)やエコキャップリサイクルです。
リ・リパックは、回収しないと廃棄されてしまうため、コストの面からも40%以上の回収率が必要とされます。奥田さんたちは、この回収率を高める重要な役割を担ってくれています。
エコキャップは、回収業者の買取により換金が可能なプラスチックです。キャンパス内で回収したキャップが、NPO法人エコ・ワクチン協力会により発展途上国のワクチン購入に役立てられているそうです。

リサイクルを通じた環境問題への取り組みと、発展途上国への支援を両立させたこの取り組みは、SDGs目標12(つくる責任・つかう責任)やSDGs目標3(すべての人に健康と福祉を)に通ずるものであり、大変すばらしいと感銘しました。

また、古紙やプリンターインクの回収推進もこの委員会が広報面などで積極的に活動しており、第一食堂と翠陵会館・生協売店との間にあるエコステーションには、再資源化を待つものがたくさん集められていました。

エコステーションの前で(左から大向さん、伊藤学長、奥田さん)


大向委員長からは、放置自転車をなくす活動をする自転車班、教職支援センター前花壇や環境情報科学館の屋上花壇や緑のカーテンを管理する緑化班の話を聞かせていただきました。
今年度、三重大学教職員も緑花チーム(私も参加しています)を結成し、本部前にコスモス畑つくりなどを行っていますので、今後は環境ISO学生委員会緑化班とのコラボができると面白いと思いました。
さらに、環境ISO学生委員会の地域連携部は、町屋海岸の環境保全などの活動を行っている地域のNPO法人町屋百人衆と共同で町屋海岸の清掃を年に5回実施しているそうです。

委員会の様々な活動は、広報部が主にツイッターで広報し、イベント企画部がいろいろな場所でパネル展示などを開催するというように、ただ活動を行うだけでなく、活動の意味を伝え、輪を広げるところまで、学生メンバーが知恵を出し合いながら幅広く取り組んでいるところに頼もしい次世代の姿を見せてもらいました。

SDGs達成への気運が世界的に高まり、異常気象などの環境問題がとても身近な社会問題となりつつある今、我々一人ひとりの前向きな意識が問われています。三重大学は、環境問題への対応、SDGsへの取り組みを積極的に行い、社会を牽引していける人材の育成を行いたいと思っています。今回の報告の様に、学生さんたちが主体性を持ってこれらの問題に対して積極的に活動していてくれることを大変逞しく思います。まさに三重大学生の「Actする力」です。

対談の様子

"COP-26" 朴特命副学長、国際環境教育研究センター長に聞く

今年10月31日から11月13日にかけて、英国グラスゴーで開催された国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)に、世界保健機構(WHO)アジア・太平洋環境保健センター所長として出席された本学の朴 恵淑特命副学長(環境・SDGs担当)兼 三重大学国際環境教育研究センター長に、歴史的な観点から見たCOP26についてお話を伺いました。

伊藤学長(写真左)と朴特命副学長(写真右)

朴先生は、本学で四日市公害などを研究され、四日市公害から学ぶ「四日市学」を提唱しことがきっかけとなり、環境問題を研究テーマとして長く活動されてきました。特に、先生が米テキサス州のヒューストン大学におられた1988年に、現地で大干ばつによるトウモロコシの大凶作に関するニュースが流れたり、1989年のベルリンの壁崩壊、冷戦時代の崩壊の時に、当時の潜水艦の乗員が北極海氷の減少に気づいた話が紹介されるなど、1980年代後半に温暖化の影響と思われる現象がいくつも報告され始めるようになり、朴先生の問題意識が一層高まったそうです。

1992年6月、ブラジルのリオ・デ・ジャネイロにおいて「地球サミット」として知られる環境と開発に関する国連環境開発会議(UNCED)が開催されました。ここで、地球温暖化問題に関する国際的枠組みを設定した国連気候変動枠組条約(UNFCCC)が採択され、世界155ケ国が署名しました。当時の日本の宮澤喜一内閣総理大臣も、地球の緑、水、空気の保全、そして途上国の環境問題対処能力の向上に日本として貢献していくことを明言しました。
その3年後となる1995年、第1回目の締約国会議(COP1)がドイツ・ベルリンで開かれ、さらに1997年12月に京都で開催されたCOP3では、先進国及び市場経済移行国の温室効果ガス排出の削減目的を定めた「京都議定書」が採択され、地球温暖化防止に向けた国際取組が本格的に動き出しました。
温室効果ガスの排出削減をめぐっては、先進国と途上国の利害がぶつかり、なかなか具体的な内容まで決まらない状態が続きましたが、国連サミットにおいて持続可能な開発目標 (SDGs)が採択された2015年に、フランス・パリで開催されたCOP21において、初めて2020年以降の温室効果ガス排出削減等に向けた世界の全ての国における国際協定の「パリ協定」が採択されました。パリ協定は、世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2度以下にすること、さらに1.5度に抑える努力をすること、気候変動による影響に対応するための適応策の強化、資金・技術などの支援を強化する仕組みを持つ包括的な国際協定でして、21世紀後半には世界全体の温室効果ガス排出量を実質的にゼロにする脱炭素社会を目指しています。朴先生は、これが各国の具体的なアクションを後押しする大きな契機の一つになったと見ています。

三重大学の環境・SDGs方針

COP26は、2020年に開催される予定でしたが、世界的な新型コロナウイルス感染拡大のため見送られ、今年の開催となりました。
朴先生は、このCOP26のホスト国であった英国が開催地にグラスゴーを選んだ背景を「パリ協定書を意識したことと、1765年にジェームズワットが蒸気機関を発明したのがグラスゴーだったことがあるのではないか」と解析されていました。「蒸気機関は産業革命をもたらし、それが後に地球温暖化の大きな要因になったといえる。今度は、緑の革命をグラスゴーから起こすという英国の意気込みがあるように感じた」と話されていました。

COP26では、開催を1日延長して14日間にわたる議論が行われ、「グラスゴー気候合意」の採択が得られました。朴先生にこの合意に関して感想を伺いましたところ、「各国の思惑があるものの、全体的には成功した国連の環境会議と評価できる。一番の成果は、世界の平均気温の上昇を1.5度以内に抑える努力を追求すると決意できたことで、パリ協定の内容を一歩踏み込んだものとなった。脱炭素(化石)社会を実現するためには、途上国でのCO2削減も重要で、これに対し先進国が技術的にも資金的にも支援するパートナーシップ行動基金も立ちあげられた。またこれらの活動をリードできる若者の育成を行っていくこと、グローバル・パーナーシップを決められた点は高く評価できる」とお話されていました。

今年は、津市内の紅葉はいつになく遅かったような気がします。みなさまの地域ではいかがでしたでしょうか。
また、大型台風の発生、ゲリラ的に降る集中豪雨など、気候変動が起こっていることを肌で感じることが多くなってきています。先日も、米国で季節外れの竜巻アウトブレークが起こっており、これも温暖化が一因と考えられます。このまま温暖化が進めば、10~20年で状況はさらに大変なことになってしまうと多くの科学的警告が出されています。
地球環境を持続可能なものとするには、脱炭素社会に向け、国のみならず、組織も、個人もそれぞれがどう対応していくかを考えて行かなくてはなりません。三重大学は、環境先進大学として、研究や人材育成、また大学運営の中で様々な取り組みを行っていますので、今後も皆さんと力を合わせ、環境問題、カーボンニュートラル・脱炭素社会実現への活動をより積極的に行っていきたいと思います。

朴先生は、冒頭でもご紹介した通り、本年10月からWHO西太平洋地域事務局のアジア・太平洋環境保健センターの初代所長に就かれております。このセンターは、当地域にある37カ国のWHOにおける環境問題を取り扱っており、ソウルに事務局があります。日中韓を含む西太平洋地域におけるWHOのセンター所長としても、朴先生の益々のご活躍が期待されます。

伊藤学長(写真左)と朴特命副学長(写真右)

朴特命副学長が描かれたイラスト

工学研究科・工学部「三重大学のトップレベルの研究を牽引」

今回は、工学研究科長・工学部長の池浦良淳先生に工学部について伺いました。

伊藤学長(右)と池浦研究科長(左)

三重大学工学部は昭和44年に機械工学科と電子工学科の2学科で設立された後、4学科を増設して計6学科となりました。令和1年度で行われた学科改組では、「総合工学科」1学科となり、機械工学、電気電子工学、応用化学、建築学、情報工学、総合工学の6コースから構成される形となりました。
大学院博士前期課程は、「機械工学」、「電気電子工学」、「分子素材工学」、「建築学」、「情報工学」「物理工学」の6専攻、博士後期課程は、「材料科学」および「システム工学」の2専攻が設置されています。
博士前期課程には、学部修士一貫性コースも新設されており、4年次で修士研究を進め、卒業研究に代えて長期インターンシップ(実働30日)を選択することも可能です。その後、5年次進級時に学士(工学)の学位が授与され、海外留学や地域と協働した海外インターンシップを取り入れることができるなど特色のあるカリキュラムとなっています。
工学部定員は、1学年400名、博士前期課程216名、博士後期課程16名で、三重大学では最も学生数の多い学部・研究科です。教員数は100名弱で、教員一人当たりの学生数は20名強となりますが、その中でFace-to-Faceによる丁寧な教育や研究に取り組んでいただいています。

三重大学の工学部は、企業と大学の共創教育を目指しています。池浦先生のお話から、本学の工学部には、社会や企業などから期待されている知識やスキルを身に付けられるよう、研究を自由な発想で行える環境が整えられていることが強みの一つになっていることを改めて強く認識しました。
工学部卒業生の活躍の場は、すでに製造業、建築業、電気・ガス業、運輸・情報通信業など多岐にわたっています。これからは産業構造が大きく変わり、特に情報工学に関わる社会的ニーズは飛躍的に高まってくるでしょう。
池浦先生は、こうした将来的な変化に応える教育プログラムの必要性を見据え、「基礎をしっかりと勉強し、それを応用した研究ができる教育環境と同時に、社会からの要請・要望の高い産業分野を横断した総合的な能力の育成に対応できる体制が重要である」と強調されていました。その上で、「今後は、地域連携人材育成プラットフォームなどを通じて、愛知県、三重県、大阪府といった近隣県で活躍される企業との連携を深めたり、学生支援のための奨学金制度を創設したりしながら、人材育成や地域創生となる共同研究を進めていきたい」とお話されていました。

対談の様子

教育とともに、活発な研究も本学工学部の特徴です。三重大学には、世界トップレベルの研究を支援する「卓越型リサーチセンター」がありますが、工学部もここを研究ハブとして様々な成果を生み出しています。
三宅秀人教授の特異構造の結晶科学(LED)研究、今西誠之教授の次世代型電池の研究、そして、池浦先生の人間共生ロボティックス・メカトロニクス研究もその一つです。また、最近では、村田博司教授のbeyond 5Gの研究も社会実装に向け動き出すなど、本学を代表するいくつもの研究が工学部において行われています。

また、三重大学は、地域拠点として県内に4つのサテライトを開設していますが、その一つである北勢サテライトで中心的な活動を行っているのも工学部です。各種研究会の実施や地域に出向いた組織的な工学部の研究活動の紹介、共同研究の橋渡しなどが実践的に行われています。
三重大学は地域共創大学としての活躍をこれまで以上に高めていく予定です。池浦先生は、「工学部の卒業生は大企業からの求人が多く、就職先の多くは、愛知県、関東圏・関西圏となってしまう。県内企業を含めたこの地域に根付く人材や頭脳の確保に向けて、どのように就職を支援していったらよいか検討していく必要がある」と取り組むべき課題をあげられていました。これは、地域共創大学としての立場から、非常に大切な点です。

最後に、池浦先生の研究内容についてお伺いしました。
前述の通り、池浦先生はロボティックス・メカトロニクスの研究者で、本学に「人間共生ロボティクス・メカトロニクスリサーチセンター」を開設されています。この研究分野は、人間の運動機能の補助となる共生型の技術をソフト・ハードの両面から開発を行い、社会課題の解決を目指していくというものです。
具体的には、作業用姿勢アシスト技術、自動車の運転アシスト技術、さらには医療・福祉分野にも応用できるものなど、人間をアシストする技術の開発が対象となっています。
今回の対談の際にも、ドライビングシミュレーターによる運転者の負担分析に基づく疲れにくいドライバーズシート、人間の運転特性に則した自動運転システム、筋肉の負担を軽減し長時間作業でも腰痛発症を予防できる作業用姿勢アシスト技術などを実際に見学させていただきました。それぞれが社会実装可能な技術で、すでに実用化が見えるところまで開発が進んでいるものもあり、研究成果の社会への還元が目に見えるようで大変楽しみな、わくわくするものばかりでした。

作業用姿勢アシスト技術を身に着ける伊藤学長

来年度から始まる三重大学の第4期(2022年度~2027年度)では、地域共創活動の大きな柱の一つに北勢サテライトを活用した産学官連携の活動を据えます。この活動の中で、工学部は大変重要な役割を果たし、さらなる活躍を見せてくれるものと大いに期待を寄せています。

伊藤学長(左)と池浦研究科長(右)

三重大学生の「Actする力」- すぱいすupくまの.-

三重大生が、地域活性化を目指して、熊野市にカフェ「すぱいすupくまの.」を起業したというニュースを聞きましたので、行ってきました。

津市から熊野市までは少し遠いですが、待ち望まれた熊野尾鷲道が2021年8月29日に全線開通したため、信号停止なく自動車専用道路で、一気に行くことができるようになりました。ずいぶん熊野市が近くなったと感じました。

カフェ「すぱいすupくまの.」は、熊野市駅前にある熊野市が若者の起業を応援するために整備した商業施設の1階にあります。建物を管理する熊野市観光公社が今年6月に出店者を募集し、三重大学人文学部法律経済学科4年生の久保理香子さんの「すぱいすupくまの.」が選ばれました。大変おしゃれなカフェで、お昼はテイクアウトのお弁当を販売し、午後からは、カフェとして営業しています。

お店の外観お店の入口

久保さんは、人口減少が続く熊野市の活性化について高校生の時から考えていたそうです。三重大学人文学部に入学し、現在は地方行政に興味があり、岩﨑 恭彦先生の地方自治論ゼミで勉強しています。地域の活性化には、地域の方々が地元に愛着を持つことが大切で、そのためには、豊かな時間をゆったりと育める場所が必要であると考え、今回のカフェの起業に繫がったとのことです。

三重大学で受けた教育では、教養教育などにおける三重県の企業家、行政の長の方を講師として招いた講義が大変勉強になったようです。三重に貢献したいと思うなら三重大学への進学が一番良いと話してくれた時は、大変嬉しく誇らしい気持ちになりました。

三重大学の教育目標は、幅広い教養の基盤に立った高度な専門知識や技術を有し、地域のイノベーションを推進できる人材を育成するために、「4つの力」、すなわち、「感じる力」、「考える力」、「コミュニケーション力」、それらを総合した「生きる力」を育むことです。これらの言葉には直接表現されていませんが、この中に含まれている重要な力に『Actする力』があります。仕事を遂行するにあたり、その方法論として良く出てくるPDCAやOODAにはいずれもA、すなわちActが入っています。久保さんの今回のカフェ起業は、まさにこの『Actする力』。地域の課題を見つけ、様々なデータから、その解決法を考えて、様々な人たちとコミュニケーションをとりながら、解決に向け行動する、この力が、今後の幸せな社会を創っていく上で重要だと思います。三重大学もこのような力をより発揮できる人材育成を目指し、教育のバージョンアップを行っていきます。

地域を活性化する第一歩を踏み出した久保さんには、今後益々キャリアアップを積みながら、素晴らしい地方のリーダーとなっていただきたいと思います。

伊藤学長(左)と久保さん(右)お店の中の様子

人文学部「文化や社会について考察」

今回は、人文学部長の藤田伸也先生に、人文学部のことについてお話を伺いしました。

人文学部は三重大学唯一の文系学部です。三重大学にもある生物資源、医学、工学などの理系学部は自然の成り立ちを研究し、それを人類社会へ応用する教育研究活動を行いますが、文系学部は、人がこれまで長い年月をかけて築いてきた文化や社会について考察し、現在および今後の社会の在り方について考え、議論する学問領域です。
藤田先生は、「文科系の学部は、我が国において、国家有用の人材を育成するのに重要な使命を担ってきており、人間とは何か、世界はどこまで広がっているのかなど、人間中心で考えていく学問を行う場である」と言われていました。

大学の姿は、世界の歴史の中で、様々な国の異なる社会状況や風土に影響を受けながら、時代と共に変化してきていますが、近代型大学の原点とも言われる中世ヨーロッパのボローニャ大学やパリ大学では、やはり法学、神学などの文系分野が中心に据えられていました。
三重大学の人文学部は、1983年に当学5番目の学部として創設されました。これにより三重大学の総合大学化、すなわちUniversityとしての形が整いました。わが国における高等教育において、教育の原点とも言える、哲学、倫理学という領域の教育が重要です。次世代の社会を担う豊かな人間性と創造性を備えた人材の育成、国際相互理解の促進などに繫がる教育も教養教育が原点であり、この点においても人文学部が担う教育研究活動が非常に大切だということを、藤田先生との対話の中で改めて認識を強くしました。

三重大学人文学部は、「文化学科」と「法律経済学科」の2つの学科で構成されています。
文化学科では、世界諸地域のさまざまな文化を総合的視点で理解できる豊かな教養と人間性を身につけ、専門的知識と国際感覚に基づいて判断・行動できる人材の育成がなされています。特に、科学史、科学哲学(進化論、生命倫理)、美術史学、文化人類学、図書館情報学などの領域に強みがあるのが当学の特徴です。

法律経済学科では、法学・政治学・経済学・経営学という社会科学の4つの分野にわたる幅広い専門知識を提供しており、専門性と学際性を兼ね備えた教育を行うことで、国際社会・地域社会の発展に貢献できる人材の育成を目指しています。

三重大学は、地域拠点サテライト活動を通じて地域共創活動を展開していますが、人文学部は、伊賀サテライトの忍者研究、伊勢志摩サテライトの海女研究など、地域文化の歴史をテーマにした教育研究活動を牽引し、その様々な研究は全国的、世界的に知られ、三重大学のブランド形成にも貢献しています。

藤田先生によれば、「人文学部の対象は、社会の変遷、考え方の移り変わりを研究するところにあり、様々なことに疑問を持ち、どこに問題があるかを見つけて、議論することが重要」なのだそうです。そのためには、大人数の講義ではなく、少人数で身近に接して指導することが大切で、教えるというよりは、様々な事象を共有し、そこから学ぶ姿勢が必要とされます。だからこそ、三重大学の人文学部では、少人数教育による行き届いた学習を特徴とし、数名~10名程度のゼミ形式で教育が行われているとのことです。これは、国立大学の文系ならではの教育スタイルだそうで、学習の進展に、学生自身のモチベーションが非常に大切だけれども、逆に学ぶ意欲があれば、極めて充実した学習を続けられる環境です。
学部生の後半になると、多くの学生は就職活動に重きを置いてしまう傾向もある様ですが、藤田先生は、「せっかくの限られた学びの機会を無駄にすることなく、出来る限り学習を続けることが重要だ」と強調されていました。概ね、学びに対して高いモチベーションを持ち続けられる学生は、結果的には就職でもよい手ごたえを得られる場合が多いそうです。

藤田先生のご専門の美術史についてもお伺いしました。先生は、地形図への興味から東京大学理科2類に進学され、理学部地理学科を目指されましたが、入学後、理系より文系の面白みをより感じるようになり、3次元を平面で表す絵画への強い関心もあって、最終的に文学部の美術史学科を専攻することにされたそうです。
理系から文系に変更された藤田先生のお考えの柔軟さや関心の幅広さ、また、そうした専攻変更が可能な東京大学の素晴らしさに感動しました。先生は、奈良の大和文華館で学芸員を務められた後、本学人文学部の教員に転職されておられます。

先生は、現在、特に中国絵画のご研究を進められており、今回お話を伺った際にも、11世紀ごろに描かれた北宋絵画(水墨画)の郭煕『早春図』複製掛軸を見せてもらいながら、その奥深さについて教えていただきました。『早春図』は、山水画の頂点とも言われる作品だそうですが、墨の濃淡を活かし、スケールの大きい中にも非常に繊細な描写がされており、季節の移ろい、大自然、そこに生活する様々な人々の描述から、その当時の中国が理想とする人と空間を感じ取ることが出来ました。総合的な文化の現れである美術は、社会の余裕や豊かさが必要ですが、中国の歴史や壮大さをこの1枚からも理解することが出来ることを教えていただきました。

最後に、藤田先生から、本学の基本理念に出てくる「切磋琢磨する」という中国由来の言葉の意味を教えていただきました。「玉(ぎょく)の原石は外から見ただけでは分からない、その原石を切り出して、十分な手間をかけて、どう形を整え、磨き上げていくか」、これが切磋琢磨という言葉が示す意味だそうです。原石からどう輝く玉を磨くか、何を切磋琢磨するか、三重大学の今後の人材育成について、人文学的見地から、改めて重要な課題を確認することが出来ました。

高等教育におけるリベラルアーツの重要性、さらにリカレント教育の必要性が指摘され、文理融合、異分野横断的な教育から総合的人間力をもった人材の育成が必要となってきています。これらの三重大学の教育研究活動の発展において、人文学部の活躍が大いに期待されます。

伊藤学長藤田人文学部長

伊藤学長(左)と藤田人文学部長(右)伊藤学長(左)と藤田人文学部長(右)