- 学長ブログ ある地方大学長のつぼやき -

三重大学長の「つぶやき」と「ぼやき」のブログです。

NHKテレビで放映された三重大生の酒づくり実習
~三重大農場の高級酒米で三重大生が造る大吟醸「三重大学」を100本以上予約注文~

 1月10日(土曜日)の朝、NHKテレビを見ていたら、7時半からの「ウィークエンド中部」で、三重大生が近所の酒屋さん(寒紅梅酒造)で酒造りに取り組んでいる姿が放映されていました。三重大農場で収穫した酒米から三重大生が純米大吟醸酒を造るという。 

 ライブの放映らしかったので、私は、さっそく学生たちを励まそうと、亀山市の自宅から車で津市の寒紅梅酒造さんに向かいました。すると、学生たちが、31度の温度に設定された蒸し暑い部屋で、専務の増田明弘さんや杜氏のみなさんといっしょに、「酒母(しゅぼ)をつくるための麹(こうじ)つくり」の作業をしていました。

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  温度計で温度をはかりながら、手作業で蒸した酒米をほぐして薄く敷きつめ、種麹(たねこうじ)を振りかける最適の温度に調整します。蒸し暑い部屋でやっているので、これがなかなかたいへんな作業なんですね。種麹を振りかけて米と混ぜたあと、米を大きな団子のような固まりにして布で包みます。今日の作業はここまでで、学生たちは、また、明日の朝6時から次の工程の作業をするとのことでした。

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  今回使われた三重大農場の酒米については 10月7日のブログで、金色の稲穂もたわわに実って、「イナバウアー」のようにしなっている「弓形穂(ゆみなりほ)」(伊勢錦短桿)の写真をご紹介しましたね。これは、まぼろしの酒米と言われていた高級酒米「伊勢錦」を、栽培しやすいように丈の短い品種に三重大が開発したものです。酒米とふつうのうるち米を比べると、酒米には「心白」といわれる白い中心部分があることがわかります。純米大吟醸は、それを50%まで外側を削り取って精米をした米を使うんですね。

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  日本酒の醸造は、まず米のデンプンを麹菌の力でブドウ糖に分解して、そのブドウ糖を酵母菌でアルコールにするのですが、両者を並行しておこなう工程があるので「並行複発酵」と呼ばれています。これは日本酒独特の醸造方法で、他の醸造酒に比べてアルコール度を高くすることができるとのことです。

 三重大の学生が造り酒屋さんで実習をさせていただくという取り組みはこれで3年目になります。昨年のお酒は「三翠」という名前で売り出し、これもなかなかおいしいお酒でしたが、今回は、三重大農場で収穫した高級酒米を使うということが前回と違う点です。今日実習に参加した生物資源学部の学生さん(3年生)に感想を聞いたところ、みなさん、たいへんだったけれどもとっても楽しかったと言っていました。私も、ふだん何気なく飲んでいる日本酒が、こんなに複雑な工程を経て、また、杜氏の技で造られるということを知らず、見学をさせていただいて初めて非常に奥深いものだということがわかりました。完全なオートメーションで作っている大規模な酒屋もあると思いますが、やはり、小さな地元の酒屋で、うまい酒ができるかできないか杜氏の技次第という酒作りの方が、味があっていいと思います。

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  昨年末に大学生協のレストラン「パセオ」で開かれた日本酒を楽しむ会の席で、私はどうも300本を予約注文すると言ってしまったらしく、学長が300本注文するという噂がすでに流れているようなのですが、それをすっかり忘れていました。家内と相談したところ、100本(20万円)の注文までということなので、一応100本以上ということに訂正しておきます。

 ラベルも学生がデザインをします。今回の銘柄は、ずばり、「三重大学」ということにしたとのことです。大量注文すれば、学長用のラベルも受け付けるということですので、「三重大学」の下に「長」をデザインして欲しいという希望を伝えました。

 生物資源学部の学生杜氏のみなさん、おいしいお酒ができますように、ぜひとも頑張ってくださいネ。
 寒紅梅酒造の皆さん、三重大生の実習にご協力いただき、感謝をいたします。