地域農業のイノベーションを起こそう
~とっても楽しい三重大農場ツアー(その2)~
三重大農場ツアーは盛りだくさんなのですが、かけ足でご紹介しましょう。
○あまりみかけないけどきれいな花ですね。エンジェルストランペットです。![]() |
○かわいい羊も飼っています。貸し出しもしていますよ。![]() |
○乳製品をつくる実習室![]() |
○バイオマス発電の装置![]() |
○たい肥をつくる小屋 |
○みかん畑で試食![]() |
○かき畑![]() |
○ビオラ ![]() |
ハウスでは、近くの小学校の皆さんが植えたミニトマトが色づきかけていました。これは農林水産省の「教育ファーム推進事業」の一環で、10月3日に子供たちが農場を訪れて、農作業の体験をしたことが翌日の新聞で紹介されていましたね。
陽も傾きかけたころ、丘の上に登っていくと、茶畑や高性能風車の実験場がありました。その近くにある秘密の狐(きつね)の穴を見せていただきました。
事務所へもどって、おいしい「きくみかん」と「アテモヤ」の試食をさせていただきました。ただし、季節が合わないのでいずれも冷凍のものでしたが、おいしかったですよ。
みなさんは「きくみかん」をごぞんじですか?写真のように、皮が少しポコポコしていますね。この形が菊の花を連想させるのでこの名がつきました。実は「きくみかん」というのは、そのような品種があるのではなく、ふつうの温州(うんしゅう)みかんなのですが、栽培の工夫によって糖度が高く甘いみかんが作れるのです。
どのようしたら「きくみかん」ができるかというと、栄養や水を十分に与えない、つまり木を「いじめてやる」ことでできるそうです。これは驚きですね。三重県の熊野地域はみかんの産地なのですが、「樹勢」つまり木の勢いが弱いそうです。それを逆転の発想で「きくみかん」を作り、地域ブランドにしようというのが、この「きくみかん」プロジェクトです。
アテモヤは、チェリモヤとバンレイシ(釈迦頭)をかけ合わせてできた南国フルーツで、「森のアイスクリーム」とも呼ばれ、最近人気上昇中です。フロリダや台湾等で栽培されていますが、食べ頃がたった1週間しかないので、生果を遠くから運ぶことが難しく、日本での栽培がビジネスチャンスに結びつく可能性があり、沖縄や三重県の紀南地区で栽培が始まっています。ところが花粉媒介虫が本州には少ないので、現在は人工受粉によって結実させています。三重大では、本来の花粉媒介昆虫(きっと甲虫)の探索や植調剤を利用することで、効率の良い生産を行うための研究をしています。
日本が食糧自給率を高めなければならないことは緊急の課題です。そのためにはこのような農業のイノベーションに結びつく研究が不可欠です。それにも関わらず、国は国立大学や独立行政法人の研究機関の予算を“着実”に減らしています。農場の教職員の皆さんの願いは、旧式の農業機械や設備を、新しいものに更新してほしいということでした。