パールの輝きで、理系女性が三重を元気に
~中・高生のみなさん「パール・リーダー」をよろしくね~
今日はブログの読者の皆さんにクイズです。
日本の研究者の中で女性研究者はいったい何%いるでしょうか?
また、女性研究者の割合は主な国の中で何番目くらいでしょうか?
答えは、女性研究者の割合は平成19年度のデータで12.4%です。この数字はデータの得られる34カ国のうち34番目、つまり“びり”なのです。しばらく前までは韓国が最下位だったのですが、とうとう抜かれてしまいました。
ちなみに男女共同参画社会とは、「男女が、社会の対等な構成員として、自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、もって男女が均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受することができ、かつ、共に責任を担うべき社会」とされ、日本では「男女共同参画社会基本法」が1999年に施行されています。しかし、ダボス会議で有名な世界経済フォーラムによる「男女格差報告」(Global Gender Gap Report 2006)では、格差の少ない順位は、日本は世界115カ国中79位と途上国以下であり、法律ができてもいっこうに改善していないようです。
女性研究者が少ないことは、男女共同参画の面から問題であると同時に、もう一つ科学技術創造立国としてしか生きる道のない資源の乏しい日本で、たいへんもったいないことをしていることが問題です。だって、研究者として優秀な人材をみすみす半分近く活用していないわけですからね。特に少子化に加えて子供たちの理科離れが進んでいる現状ではなおさらです。
そこで今回、理系の女性研究者を少しでも増やそうと、三重大が中心となって県内の7つの大学や研究機関(「三重大学」「野菜茶業研究所」「養殖研究所」「四日市大学」「鈴鹿医療科学大学」「鈴鹿工業高等専門学校」「鳥羽商船高等専門学校」)がいっしょに、「パールの輝きで、理系女性が三重を元気に」という事業を立ち上げました。これは今年度の文科省科学技術振興調整費の「女性研究者支援モデル育成事業」に採択され、8月2日に、「伊勢パールピアホテル」でキックオフ・シンポジウムが開かれたのです。(実は会場には、事業名にちなんで “パール”の名のついたホテルを探しました。)
キックオフには、伊勢市議会議長の池田ミチ子さん、三重県生活・文化部長の安田正さん、三重県男女共同参画センター長の鈴山雅子さんや、関係者の方々にたくさん集っていただきました。
記念講演として、東北大学大学院医学系研究科教授の大隅典子さんに「好きな仕事をつづけよう!」というお話をしていただきました。大隅さんは脳科学で世界的な研究成果をあげられ、“グローバルCOE”などの大規模研究費を獲得されている、とっても魅力ある女性研究者ですよ。
大隅さんが小さいころ憧れていたのは、アナウンサー、図書館の司書、建築家、雑誌の編集者、料亭の女将(おかみ)などでしたが、歯学部を卒業されたあと、ご両親が研究者であったこともあり、基礎研究の道に進まれました。ノーベル賞をもらうためにはどのような研究をすればいいのかなんて考えたことはなく、自然な心に導かれて研究を続けた結果、大きな発見につながり、そして、今は26人の研究者をかかえる研究室の“女将”として世界的な活躍をしておられます。(大隅さんのブログ“大隅典子の仙台通信”には翌8月3日に伊勢神宮を訪れたことが書かれていますよhttp://nosumi.exblog.jp/)
これから「パールの輝きで、理系女性が三重を元気に」の一つの取り組みとして、女性の研究者からなる「パール・リーダー」が地域の学校を訪問し、生徒さんに女性研究者の魅力をお話ししていただく予定です。中・高生のみなさん「パール・リーダー」をよろしくね。