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トラフグ「口白症」の確定診断法を開発

2021.6. 1

研究の概要


 生物資源学研究科の一色 正教授が、福井県立大学海洋生物資源学部の宮台俊明名誉教授、末武弘章教授、瀧澤文雄准教授らとの共同研究で、養殖トラフグに甚大な被害をもたらす「口白症(くちじろしょう)」の病原ウイルスのゲノムの一部を発見し、このゲノムを検出することによって口白症を確定診断することを可能にしました。

 口白症は1982年に初めて発生し、新規の病気として報告されました。病魚のかみ合いによって個体から個体に感染し、致死率も高いため、一度発生すると、養殖いけす内のトラフグが全滅することもある恐ろしい病気です。口白症の病原体はウイルスであると予測されていましたが、ウイルスのゲノムは40年近く特定されなかったため、ウイルスの確定診断法であるPCR法はもちろんのこと、ワクチンによる防御法を開発することはできませんでした。

 本研究では、ウイルスの未解明のゲノムを探し出す手法を用いて、3つのRNA断片を特定することに成功しました。これらのRNAは既知のどのウイルスとも異っているため、新規のウイルスであると考えられました。そして、これらのRNAをPCR法で検出することによって、口白症であるかどうかを確定診断することが可能となりました。口白症は現在でも不明病として扱われている可能性もあり、本診断法を用いることで口白症の発生状況を正確に把握できます。さらに、このゲノム情報をもとにしたワクチンの開発につながることが期待されます。

本成果は、2021年3月15日、日本魚病学会誌「Fish Pathology」に掲載されました。


詳しくはこちらをご覧ください。


福井県立大学小浜キャンパス プレスリリース




研究者情報


一色教授 (3)横1000☆
 

三重大学大学院生物資源学研究科 教授

一色 正(Tadashi Isshiki)

専門分野: 魚病学

現在の研究課題: 不明病の原因究明と診断法開発、天然魚介類の疾病に関する研究、貝類に対する病原細菌の感染機構、変温動物の温度依存性免疫機構、魚病の予防法・治療法の開発