研究の概要
三重大学生物資源学研究科の伯耆匠二助教と同研究科博士前期課程修了生の尾崎真奈(現・姫路市立水族館)らは、珪藻類の葉緑体DNAを網羅的に分析する手法(珪藻特異的DNAメタバーコーディング)をアサリの食性解析に応用し、本種が天然海域で何をどのように食べているのか、本種の成長に伴って食性がどのように変化するのかを初めて明らかにしました。また、天然海域の環境水や海底上に生息する多種多様な珪藻の中には、アサリの餌にならないものがあることも明らかにしました。研究で得られたこれらの知見は、日本におけるアサリ資源の減少要因の究明、本種の資源回復に向けた方策の立案、ならびにその効果の検証において不可欠な科学的根拠となると期待できます。
本研究の成果は2025年3月8日付けで海洋生態学系の国際誌Estuarin, Coastal and Shelf Scienceに受理されました。
論文タイトル: Ontogenic shift of feeding habit in Manila clam Ruditapes philippinarum after settlement revealed by diatom specific DNA-metabarcoding diet analysis
https://doi.org/10.1016/j.ecss.2025.109244
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研究者情報
生物資源学研究科 助教
伯耆 匠二(HOUKI Shouji)
専門分野:海産無脊椎動物の生態学
現在の研究課題:
・二枚貝の摂餌生態
・ワレカラの摂餌生態
・ベントスの摂餌行動が海底プラスチックごみにおよぼす影響
・海底湧水環境における新たなアサリ養殖技術の開発