研究の概要
糖尿病関連腎臓病(DKD)は新規透析導入の原因疾患の第一位であり、新たな治療方法の確立が求められています。近年、腸内細菌叢の乱れが腎臓病の進展に関連することが報告されていますが、詳細なメカニズムは不明でした。
このたび、三重大学大学院医学系研究科代謝内分泌内科学、同免疫学の研究グループは、同グループが発見した細菌由来の細胞死を誘導するペプチドであるcorisinがDKD患者の血液および尿中で増加し重症度と関連すること、corisinの発生源が腸内細菌でありDKDにおいてその産生が増加することを明らかにしました。
またcorisinが血液中においてアルブミンと結合した状態で存在し、アルブミンの受容体を介して腎臓の細胞内に取り込まれること、DKDマウスにおいてcorisinを阻害することにより腎臓の老化が抑制されその結果として線維化が改善することを明らかにしました。
今回の研究成果は、細菌が産生するペプチドが糖尿病関連腎臓病の悪化原因となりうることを示しており、細菌由来のペプチドを標的にした新しい治療法の開発につながることが期待されます。
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図 研究成果のまとめと今後の展開
研究者情報
医学系研究科 代謝内分泌内科学・免疫学 講師
安間 太郎(YASUMA Taro)
専門分野:代謝内分泌内科学 免疫学
免疫学講座の研究グループ