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ヒトリンパ管発生過程の解明

2024.2.14

研究の概要


■ヒト胚でどのようにリンパ管ができていくのかを解明
■ヒトリンパ管の臓器ごとの多様な発生や静脈とリンパ管の接合部(静脈角)の発生過程を解析
■ヒトとマウス胚では、リンパ管発生のスピード(時間経過)が全く異なる

概要
三重大学医学部医学科5年 山口翔一郎、4年 南出夏葵、三重大学大学院医学系研究科 修復再生病理学 研究科内講師の丸山和晃らは病理診断の残余検体に含まれるヒト胚を集積し、ヒトでリンパ管がどのように形成されるのかを解明しました。
研究グループはこれまでも、マウスを使用し、リンパ管の由来が体の上部(頭頸部から縦隔)と下部で異なり、この由来の違いがヒトでの先天性の脈管疾患の原因となっている可能性などを報告してきました(文献1-3)。しかし、リンパ管の発生や生理的な役割は種差が非常に大きく、ヒトで実際にリンパ管がどのように形成されるのか、マウスの知見がそのままヒトに適応できるのかどうかは解明すべき問題でした。
本研究開発課題では、3〜8週の胚と9週の胎児標本を使用し、①リンパ管が魚類・マウスと同様に静脈内皮細胞の分化転換で形成される事や、②体上部リンパ管が体幹部のリンパ管と比較し、非常にゆっくりと発生すること、③静脈角が初期リンパ管(リンパ嚢)と総主静脈の結合部にリンパ管と静脈を境界する弁が形成され形成される事、④様々な臓器ごとにリンパ管がどのように多様な分布を獲得するのかを明らかにしました。
本研究で、ヒトでのリンパ管初期発生が明らかになり、リンパ管の進化・発生、リンパ管関連疾患(リンパ浮腫、肥満、心血管疾患、クローン病、先手性脈管奇形など)の病態解明に役立つことが期待されます。


研究成果は2024年2月14日に「The EMBO Journal」誌に掲載されました。
論文タイトル: The development of early human lymphatic vessels as characterized by lymphatic endothelial markers
DOI:https://www.embopress.org/doi/full/10.1038/s44318-024-00045-0


本プレスリリースの本文は「こちら

ヒトとマウスのリンパ管発生の比較


研究者情報


 

三重大学医学部医学科5年
山口 翔一郎(Yamaguchi Shoichiro)

三重大学医学部医学科4年
南出 夏葵(Minamide Natsuki)

三重大学医学部附属病院病理部 准教授
今井 裕(Imai Hiroshi)

三重大学大学院医学系研究科 産科婦人科学 教授
池田 智明(Ikeda Tomoaki)

三重大学大学院医学系研究科 腫瘍病理学 教授
渡邉 昌俊(Watanabe Masatoshi)

三重大学大学院医学系研究科 修復再生病理学 教授
今中(吉田)  恭子(Imanaka-Yoshida Kyoko)

三重大学大学院医学系研究科 修復再生病理学 研究科内講師 ※責任著者
丸山 和晃(Maruyama Kazuaki)