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酸性泉に適応した光合成細菌のタンパク質進化

2022.12. 5

研究の概要


三重大学大学院医学系研究科の谷一寿特任教授、溝口明教授、茨城大学大学院理工学研究科の大友征宇教授らのグループは、米国イエローストーン国立公園の酸性泉に棲息する紅色細菌の一種Rhodopila globiformis(ロドピラ・グロビフォルミス)の「膜タンパク質コア光捕集反応中心複合体の立体構造」をクライオ電子顕微鏡(Cryo-EM)により可視化することに成功しました。

コア光捕集反応中心複合体(LH1-RC)は、光合成細菌が光エネルギーを集め、電子変換し、伝達することを可能にしている膜タンパク質です。今回得られた立体構造から、光捕集複合体の進化的な謎であった2種類の膜タンパク質(チトクロームサブユニットとPufX)の起源を示唆することが可能となり、これらの特徴を進化的に取り入れたことで、酸性雨のような環境下でも生き残れる戦略を取っていることがわかりました。そのため本研究により、酸性雨のような極限環境下でも高効率な太陽光エネルギー利用への貢献が期待されます。

本研究は、三重大学、茨城大学、沖縄科学技術大学院大学、東京農業大学、神奈川大学、神戸大学、中国科学院植物研究所、南イリノイ大学の国際共同研究によるこの成果は、2022年11月7日、学術誌「Communications Biology」に掲載(https://www.nature.com/articles/s42003-022-04174-2)されました。

図_R

コア光捕集反応中心複合体と2種のタンパク質進化



詳しくはこちらをご覧ください。


研究者情報


三重大学大学院医学系研究科 特任教授
谷 一寿(Kazutoshi Tani)
専門分野:構造生物学


三重大学大学院医学系研究科 教授

溝口 明(Akira Mizoguchi)
専門分野:電子顕微鏡(解剖学)


茨城大学大学院理工学研究科 教授

大友 征宇(Seiu Otomo)
専門分野:構造生物化学