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温泉に棲息する光合成細菌の生き残り戦略

2022.6. 8

研究の概要

三重大学大学院医学系研究科の谷一寿特任教授、溝口明教授、茨城大学の大友征宇教授、神戸大学の木村行宏准教授、日本電子㈱らのグループは、ニュージーランドの温泉に棲息する紅色硫黄細菌の一種Allochromatium tepidum(アロクロマチウム・テピダム)の「膜タンパク質コア光捕集反応中心複合体の立体構造」をクライオ電子顕微鏡により可視化することに成功しました。
コア光捕集反応中心複合体(LH1-RC)は、光合成細菌が光エネルギーを集め、電子変換し、伝達することを可能にしている膜タンパク質です。今回、LH1-RCがもっているCaイオンを特異的に結合できる仕組みを明らかにできました。
私たちが発見したCaイオン結合に必須なアミノ酸配列の特徴は、Caイオンの結合性が実験的に確認されていない光合成細菌のLH1-RCにもみられることから、予想以上に広い菌種で採用されている可能性があることがわかりました。また、Caイオンの結合により、アロクロマチウム・テピダムのLH1-RCの熱安定性が向上していることが立体構造の面からも理解することができました。本研究により、Caイオンを活用した高効率な太陽光エネルギー利用への貢献が期待されます。
三重大学、茨城大学、神戸大学、日本電子㈱、沖縄科学技術大学院大学、神奈川大学、中国科学院植物研究所、南イリノイ大学の国際共同研究によるこの成果は、2022年4月20日、学術誌「Journal of Biological Chemistry」に掲載(https://doi.org/10.1016/j.jbc.2022.101967)されました。

コア光捕集反応中心複合体(左)とCaイオン有無の様子(右)

コア光捕集反応中心複合体(左)とCaイオン有無の様子(右)



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研究者情報


三重大学大学院医学系研究科 特任教授
谷 一寿(Kazutoshi Tani)
専門分野:構造生物学


三重大学大学院医学系研究科 教授
溝口 明(Akira Mizoguchi)
専門分野:電子顕微鏡(解剖学)


茨城大学大学院理工学研究科 教授
大友 征宇(Seiu Otomo)
専門分野:構造生物化学


神戸大学大学院農学研究科 准教授
木村 行宏(Yukihiro Kimura)
専門分野:光合成