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急性肺障害を引き起こす新たなメカニズムを解明

2022.4.11

研究の概要


急性肺障害(acute lung injury;ALI)は、重症肺炎、敗血症や外傷などの様々な疾患が原因で引き起こされる重度の呼吸不全の総称で、有効な治療方法が確立されていません。急性肺障害は、肺胞上皮細胞の過剰な細胞死(アポトーシス)が病気の悪化と関連していることが知られていますが、詳細な発症機構は明らかにされていませんでした。

このたび、三重大学大学院医学系研究科免疫学講座の研究グループは、同グループが発見した細菌由来のペプチドであるcorisinおよび類似構造のペプチドが肺胞上皮細胞の細胞死を誘発し、急性肺障害を引き起こすことを明らかにしました。さらにcorisinおよび類似構造のペプチドを抑制することにより、急性肺障害とそれに引き続いて起こる肺線維化を改善することを明らかにしました。
今回の研究成果は、細菌が産生するペプチドが急性肺障害の原因物質となりうることを示し、細菌由来のペプチドを標的にした新しい治療方法の可能性を示す世界で初めての報告となります。

本研究結果は、国際雑誌「Nature Communications」に令和4年3月23日に掲載されました。



急性肺障害を引き起こす新たなメカニズムを解明 図

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研究者情報


安間先生

三重大学大学院医学系研究科 免疫学 助教
安間 太郎(Yasuma Taro)
専門分野:免疫学 代謝内分泌内科学
現在の研究課題:細菌叢と臓器線維症の関連


三重大学医学部附属病院 呼吸器内科学 教授

小林 哲(Kobayashi Tetsu)
専門分野:呼吸器内科学
現在の研究課題:肺癌発症における細菌叢の関与の研究


三重大学大学院医学系研究科 免疫学 教授

ガバザ エステバン(Gabazza Esteban)
専門分野:免疫学、呼吸器内科学、凝固線溶
現在の研究課題:細菌叢、肺線維症、肺癌、アレルギー性疾患