研究の概要
ヒトエグサは、特に三重県が国内生産量の60~70%を誇る県の特産品の一つでもあり、「あおさのり」とも呼ばれ、みそ汁の具や佃煮などに広く使われています。
ヒトエグサ抽出物に多く含まれるラムナン硫酸は、ラムノースという成分を主体とした水溶性食物繊維で、抗血液凝固作用、抗ウイルス作用、血管内皮細胞に対する抗炎症作用があることが知られています。また、当研究グループでは、2016年にゼブラフィッシュにおける研究で抗肥満作用があることも発見しています。
今回、三重大学と江南化工株式会社(本社:三重県四日市市)が共同で、ラムナン硫酸を用いたマウス試験とヒト臨床試験を実施し、ラムナン硫酸が腸内細菌叢(腸内フローラ)を改善することを突き止め、結果的に便秘改善に効果をもたらすことを明らかにしました。また次世代シーケンサーを用いた腸内細菌叢のメタゲノム解析とネットワーク解析により、ラムナン硫酸には、腸内の炎症の低減、生体防御機構の亢進を促している可能性があることもわかりました。
本研究の成果は、『Scientific Reports』のオンライン版に2021年7月5日公開されました。
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研究者情報
次世代創薬ゼブラフィッシュスクリーニングセンター / 医学系研究科統合薬理学分野 代表 / 講師
島田 康人(Yasuhito Shimada)
専門分野:肥満、悪性腫瘍、環境
現在の研究課題:ゼブラフィッシュを用いた創薬・創食研究
江南化工株式会社 ヘルスケア事業部
寺澤 匡博(Masahiro Terasawa)
専門分野:Molecular Biology
現在の研究課題:ラムナン硫酸の機能性解析
地域イノベーション学研究科 教授
西村 訓弘(Norihiro Nishimura)
専門分野:トランスレーショナル科学
現在の研究課題:地域イノベーション活性化