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生姜に含まれる破骨細胞の形成を抑制する成分10-ジンゲロールの発見

2021.3. 3

研究の概要


 骨は常に新陳代謝を繰り返しており、古くなった骨は破骨細胞によって壊され、その壊された部位を骨芽細胞が新しい骨に作り替えられています。加齢や生活習慣、閉経後ホルモンバランス変化などにより、破骨細胞の活動が骨芽細胞を上回ることにより、骨粗しょう症が発症します。これまでの私たちの研究から、生姜抽出物が破骨細胞の形成を抑制することを見出していましたが(Biosci Biotechnol Biochem. 2016;80:779-785.)、その具体的な有効成分は不明でした。今回、この生姜抽出物の分画物を骨粗しょう症モデルゼブラフィッシュ・マウス破骨細胞を用いて解析し、その活性成分が10-ジンゲロールであることを世界で初めて発見しました。さらに、10-ジンゲロールが転写因子NFATC1の活性を阻害して破骨細胞形成を抑制することや、カテプシンK活性を阻害して破骨細胞の機能を低下させることを明らかにしました。私たちの身近に存在する生姜に含まれる成分が、高齢者に多い破骨細胞優位な骨粗しょう症の改善に役立つことから、持続可能な開発目標(SDGs)の重要課題の1つ「健康寿命の延長」への貢献が期待できます。

 本研究の成果は、臧黎清先生(三重大学大学院地域イノベーション学研究科 助教)を筆頭著者として、オンライン科学誌Frontiers in Cell and Developmental Biology (Frontiers Media SA社、インパクトファクター5.2)で3月3日(中央ヨーロッパ時間6:00、日本時間14:00)に公開されました。

詳しくはこちらをご覧ください。


研究者情報


   

臧先生_R

地域イノベーション学研究科 助教

臧 黎清(Liqing Zang)

専門分野:薬理ゲノミクス・分子生物学・実験動物学・ゲノム生物学・生理学

現在の研究課題:2型糖尿病性腎症モデルゼブラフィッシュの構築および治療標的遺伝子の探索



医学系研究科 講師

島田 康人(Yasuhito Shimada)

専門分野:薬理ゲノミクス・バイオインフォマティクス

現在の研究課題:肥満・癌モデルゼブラフィッシュを用いた創薬研究



辻製油株式会社 辻H&Bサイエンス研究室 次長 

籠谷 和弘(Kazuhiro Kagotani)