研究の概要
三重大学大学院地域イノベーション学研究科の臧黎清特任准教授、医学系研究科の島田康人講師らの研究グループは、江南化工株式会社との共同研究により、三重県特産海藻ヒトエグサ由来の多糖類「ラムナン硫酸」が、糖尿病性肥満モデルマウスにおいて代謝異常と慢性炎症を改善する作用を明らかにしました。
自然発症2型糖尿病モデルマウス(NSY/Hosマウス)に高脂肪食を10週間与えた結果、ラムナン硫酸の摂取により体重増加が約30%抑制され、血中中性脂肪および総コレステロールがそれぞれ約23%、約26%低下しました。また、高脂肪食による空腹時血糖値の上昇が抑えられ、インスリン抵抗性の指標であるHOMA-IRも約56%改善しました。さらに、褐色脂肪組織、肝臓、骨格筋を対象としたRNA-seq解析により、TNFシグナル、IFNγシグナル、S100ファミリーシグナル、好中球脱顆粒経路などの炎症関連経路が広範囲に抑制されることが明らかになりました。培養マクロファージを用いた実験でも、炎症性サイトカインであるTNF-α、IL-6、IL-1βの発現抑制が確認されました。本成果は、ラムナン硫酸が慢性炎症の抑制を介して糖尿病性肥満に伴う代謝異常を改善する可能性を示したものであり、ヒトエグサ由来機能性食品素材の新たな活用につながることが期待されます。
本研究成果は国際学術誌「Journal of Functional Foods」に掲載されます。
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<論文タイトル>
Dietary Rhamnan Sulfate is associated with improved metabolic parameters and modulation of inflammation-related pathways in high-fat diet-fed mice
DOI:10.1016/j.jff.2026.107402
研究者情報

大学院地域イノベーション学研究科
特任准教授
臧 黎清(Liqing Zang)
専門分野:薬理学・分子生物学・機能性食品科学
現在の研究課題:
・ゼブラフィッシュおよびマウスを用いたヒト疾患モデル動物の構築と応用
・天然素材・食品成分の機能性評価と作用機序解析
・糖尿病および関連疾患治療薬の探索

大学院医学系研究科 統合薬理学 講師
三重大学ゼブラフィッシュリサーチセンター 代表
島田 康人(SHIMADA Yasuhito)
専門分野:統合薬理学、ゼブラフィッシュモデルを用いた創薬・疾患研究
現在の研究課題:
・ゼブラフィッシュを用いた疾患モデルの開発
・天然化合物を活用した創薬研究
・高温耐性魚類ガラルファを用いたヒト疾患モデルの構築