研究の概要
■特定の分子やイオンに応答して形状と機械的特性が変化するDNAデバイスを開発
■DNAの可逆的な構造変化を利用した化学-力学応答
■微細なDNA構造の変化が累積され、デバイス全体のトポロジーが変化
■刺激依存的なトポロジー変化を利用したマテリアル開発への応用に期待
概要
DNAは相補的な鎖同士が互いを認識し、会合することで、規則的な二重らせん構造を形成します。このような性質を工学的に応用すると、さまざまなナノ構造体や分子機械をDNA分子の自己集合によってつくりだすことができます。今回、三重大学大学院工学研究科応用化学専攻 鈴木勇輝 准教授、東北大学大学院工学研究科 川又生吹 助教、米国ケント州立大学 Hanbin Mao 教授らの研究グループは、DNAオリガミ技術と呼ばれる構造作製手法を用いることで、外部刺激に応答して形状や機械的特性が切り替わるDNAデバイスを開発しました。
研究グループが開発したDNAデバイスは多数のナノスケールの変形モジュールから構成されており、それらの曲げ変形が累積されることで、線状からコイルスプリング状へと収縮します。各モジュールの曲げ変形を、二重らせん構造と四重鎖構造という異なるDNA構造の形成・解離によって制御することで、コイル形状のトポロジーやバネ定数の可逆的な切り替えを実現しました。本研究成果は、生体分子を素材としたものづくり技術の発展とその応用展開を加速するものとして期待されます。
研究成果は2023年10月13日に「Nature Communications」誌に掲載され、同誌のEditors' Highlightsに選出されました。
DOI:https://doi.org/10.1038/s41467-023-41604-z
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研究者情報
三重大学大学院工学研究科 分子素材工学専攻/応用化学専攻 准教授
鈴木 勇輝(Yuki Suzuki)
専門分野:DNA/RNAナノテクノロジー、ナノバイオテクノロジー、生体分子工学
東北大学大学院工学研究科 助教
川又 生吹
米国ケント州立大学 教授
Hanbin Mao