GPA(Grade Point Average)とは,特定の期間に履修した各科目の評点(grade points)に,その科目の単位数を掛けた数値の総和を総単位数で割った数値のことです。GPAを導入するメリットは,皆さんが自らの学習の成果を経年的に振り返るためのひとつの指標を得ることにあります。
三重大学では,GPAとして,「履修登録基準GPA」と「修得単位基準GPA」という2種類のGPAを使用しています。これらは評点に基づいて,下記のように算出します。ただし,履修あるいは修得した科目として換算するのは,皆さんの卒業要件に含まれる科目のみです。教職関係の科目等,卒業要件に含まれない科目は対象外となりますので,注意してください。
履修登録基準GPA = (科目の単位数×評点)の和 ÷ 履修した科目の総単位数
修得単位基準GPA = (科目の単位数×評点)の和 ÷ 修得した科目の総単位数
GPAの水準を考えるときには,下の表に示す各評点の評価内容基準が参考になります。学業を本分とする大学生として,「科目内容を修得し,到達目標を概ね満たしている」に相当する2以上のGPAを目指すことが求められます。
評 点 (grade point) |
評定 | 評価点 | 100点参照値 | 評 価 内 容 基 準 | 判 定 |
評点A | AA | 10 | 95~100 | 科目内容を修得し、到達目標に優れて満たしている | 合格 |
9 | 90~94 | ||||
評定3 | A | 8 | 80~89 | 科目内容を修得し、到達目標を十分満たしている | |
評点2 | B | 7 | 70~79 | 科目内容を修得し、到達目標を概ね満たしている | |
評点1 | C | 6 | 60~69 | 科目内容を修得し、到達目標をある程度満たしている | |
評点0 | D | 0~5 | 0~59 | 科目内容を修得したと認められず、到達目標を満たしていない | 不合格 |
例:GPAの計算
ある学期に、次の科目を履修して、次のような成績を取った場合の計算式を示します。
履修登録基準GPA = 36 (単位数×評点の合計) ÷ 15 (履修登録した単位数) = 2.4
修得単位基準GPA = 36 (単位数×評点の合計) ÷ 14 (修得した単位数) = 2.57
授 業 科 目 名 | 単位数 | 評価 | 単位数×評点 |
「4っの力」スタートアップセミナー | 2単位 | A | 2×3= 6 |
オリエンテーションセミナー | 2単位 | AA | 2×4= 8 |
基礎総合科目 | 2単位 | B | 2×2= 4 |
憲法・政治社会の基本構造Ⅰ | 4単位 | A | 4×3=12 |
日本史Ⅰ | 2単位 | B | 2×2= 4 |
英語1大学基礎 | 1単位 | C | 1×1= 1 |
英語Ⅰコミュニケーション | 1単位 | D | 1×0= 0 |
ドイツ語Ⅰ会話A | 1単位 | C | 1×1= 1 |
履修登録基準GPA
分子の値は、各科目で得た評点をその科目の単位数で掛け、ここで得られた値を履修登録したすべての科目について総和した値です。分母の値は履修登録した科目の単位数の合計の値です。履修登録して不合格になった科目の単位数も含まれることに注意してください。
履修登録基準GPAを意識することにより、
「この科目で単位取れなくても、別の科目で単位取れたらいいから、履修申告しといて、大変だったら履修放棄しよう。」
「与えられた課題だけやって合格すれば幸い。とりあえず評価は低くても単位さえ取れればいい。」
などといった、目的を持たない学習計画や、漫然とした受講態度が抑制されるものと期待できます。
皆さんには、GPAを導入した意図をよく理解した上で、責任を持って履修科目を選択し、学習に取り組んでいただきたいと思います。
また、履修登録後の履修状況も反映されるために「学習の成果(outcomes)」だけでなく「学習の課程(process)」も加味した指標であるといえます。
なお、外国の大学院等に留学するときには、当該大学院等からGPAを求められることが多いようです。この場合のGPAは履修登録基準GPAを指します。外国の大学院への留学を考えている方は注意をしてください。
修得単位基準GPA
本学では、履修登録基準GPAの他に、単位を修得した科目の「学習の成果(outcomes)」だけにも焦点をあてた修得単位基準GPAも設定しています。その理由は、皆さんに責任を持って履修登録と学習に臨んだ場合のGPAを知っていただきたいと考えたためです。
計画的な学習をする際に考えてほしいこと
大学における単位は、教室内の授業だけでなく、予習や復習、そして多くの自主学習を前提にして与えられます。卒業に必要な単位数と、修業年限の関係を考慮すれば、
◎履修する科目は半期20単位程度の少数に限ること
◎シラバス等をよく読んで本当に必要な科目を精選すること
が求められると理解できると思います。
履修登録した科目については、
与えられた課題を仕上げるだけでなく、予習や復習その他の自己学習を主体的に行うことが必要になります。
その結果、より高い学習の成果(その結果として、高い評点)を獲得することとなり、2種類のGPA値は変わらないものになると考えられます。
皆さんは、責任を持って履修登録をし、登録した科目については主体的に学習を積み上げることが必要になります。そのために、履修登録や学習の進め方について不安を感じることもあると思います。
またGPAの対象となる選択科目の範囲が所属する学科によって異なる場合もありますので、疑問が生じることもあるでしょう。
本学では、各学科の修学指導担当教員等を通して、皆さんが助言を受けられるような体制を整備しています。この機会を積極的に活用して、学習活動に役立ててください。
最後に、もう一つ、大切なことをお伝えします。
GPAは、皆さんの将来のキャリアを支える能力の一端を測るための指標になりますが、皆さんの能力のすべてを示すものではありません。職業人として、また社会人として、皆さんに求められる能力は多岐にわたります。
例えば、態度や志向性に関する領域では、
◎人を思いやる心 ・物事に果敢に取り組む勇気 ・粘り強く取り組む精神力
知識や理解に関する領域では、
◎深い洞察力 ・ひらめき ・創造性 などもあります。
本学の教育目標である「4つの力」はこれらの領域を広く取り入れた特色のある目標ですが、全ての能力を包括的にするものではありません。皆さんには、それぞれ個性があります。それぞれに適した方法で自己研鑽に努めることによって、さまざまな能力を大きく成長させることができます。個々の科目の成績やGPAを大学で修得した力の一つとして省察しながら、自分に適した学習方法や学習習慣をつくり上げ、これをもとに自主的に学習に取り組んでいただきたいと思います。
※「GPA制度の取扱いに関する要項」について、こちらを参照して下さい。