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慢性腎不全の抑制物質の発見

2020.10.19

研究の概要


 慢性腎不全は先進国の人口の約10%以上が罹患し、病気が進行すると人工透析や腎移植といった腎代替療法の他に有効な治療法が見つかっていません。そのため、これまでは糖尿病や高血圧といった基礎疾患の治療により慢性腎不全を予防し、少しでも進行を遅らせる他に手立てがありませんでした。特に日本には透析患者が30万人以上おり、透析のための通院の負担や死亡率の増加に加え、年間に1兆6000億円もの医療費を要するため、医療経済的にも新たな治療法の開発が必要となっています。一方、慢性腎不全は基礎疾患によらず、腎線維化という共通の経路を伴うことが知られています。

 このたび、三重大学医学部附属病院糖尿病・内分泌内科および同大学院医学系研究科免疫学講座の研究グループは、「ヒト組換えトロンボモジュリンが慢性腎不全の進行を抑制しうること」を明らかにしました。ヒト組換えトロンボモジュリンは本邦で播種性血管内凝固症候群(DIC)治療薬として既に用いられている薬剤です。今回の研究成果は、認可済みの薬剤であるヒト組換えトロンボモジュリンの投与が、新たに作成された慢性腎不全モデルマウスの腎線維化および腎糸球体障害を抑制し、現在有効な治療法の確立されていない慢性腎不全に対して、新しい治療方法の可能性を示す、世界で初めての報告となります。

 なお、今回の研究結果については、国際腎臓内科雑誌「Kidney International」に令和2年10月14日に掲載されました。


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慢性腎不全の抑制物質の発見



研究者情報


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左から順に矢野先生、竹下先生、安間先生、ガバザ先生



医学系研究科 免疫学講座 助教

竹下 敦郎(Takeshita Atsuro)

専門分野:代謝内分泌内科学 免疫学

現在の研究課題:凝固関連、糖尿病、糖尿病合併症


医学系研究科 免疫学講座 助教

安間 太郎(Yasuma Taro)

専門分野:代謝内分泌内科学 免疫学

現在の研究課題:細菌叢、臓器線維症、糖尿病、糖尿病合併症


医学部附属病院 糖尿病・内分泌内科 准教授

矢野 裕

専門分野:代謝内分泌内科学

現在の研究課題:糖尿病、糖尿病合併症、内分泌疾患


医学系研究科 免疫学講座 教授

ガバザ エステバン

専門分野:呼吸器疾患 癌 凝固系 免疫学

現在の研究課題:細菌叢、肺線維症、肺癌、アレルギー性疾患