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人工知能による胸部レントゲン写真の新たな評価法

2020.9.25

研究の概要


医学系研究科 胸部心臓血管外科 高尾 仁二教授、医学部附属病院 周産母子センター 三谷 義英准教授、同 心臓血管外科 鳥羽 修平助教らの研究グループは、胸部レントゲン写真を定量的に(数値として)評価する人工知能を開発しました。本手法(特許出願中)では専門医を超える精度で胸部レントゲン写真を定量的に評価することができ、人工知能の新たな応用の可能性が示されました。この成果は2020年1 月22 日に医学雑誌「JAMA Cardiology」にて発表されました。

背景


先天性心疾患の重症度を表す「肺体血流比」は手術の必要性の判断等に重要な指標ですが、正確な測定には心臓カテーテル検査などの大掛かりな検査が必要です。また医師は胸部レントゲン写真から肺体血流比を大まかに予測できますが、あくまで「高い」「低い」といった定性的な評価にとどまり、正確な評価は困難でした。今回、研究グループは人工知能による画像認識技術を用いて、胸部レントゲン写真から定量的に肺体血流比を予測する方法を開発しました。

手法


「ディープラーニング」の手法を用い、胸部レントゲン写真とそれに対応する心臓カテーテル検査の結果(肺体血流比)を人工知能に学習させました。学習した人工知能に胸部レントゲン写真から肺体血流比を予測させ、その精度を医師と比較しました。

成果


人工知能は専門医を超える精度で胸部レントゲン写真から肺体血流比を予測しました。循環器領域における人工知能を用いた胸部レントゲン写真の評価の報告は本研究が世界初であり、人工知能により胸部レントゲン写真から簡単かつ正確に肺体血流比を予測できる可能性が示されました。またこれまでの他領域における報告では、人工知能を用いた胸部レントゲン写真の評価は医師の模倣を目的とした定性的な評価に留まっていましたが、今回の研究では医師の模倣を超えた定量的な評価が可能であることが示されました。今回の成果により、これまで医師が認識していなかった情報が胸部レントゲン写真に眠っている可能性が示唆されました。

詳しくはこちらをご覧ください。



研究者情報


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医学系研究科 胸部心臓血管外科 教授

高尾 仁二(Takao Motoshi)

専門分野:胸部心臓血管外科学

現在の研究課題:悪性胸膜中脾腫に対する系統的胸膜剥皮術、ナビゲーション・サージャリー、肺癌根治的縮小手術、salvage surgery、拡大手術・集学的治療、早期肺癌の診断と治療、低侵襲手術/胸腔鏡手術


医学部附属病院 周産母子センター 准教授

三谷 義英(Mitani Yoshihide)

専門分野:小児科学、小児循環器学、新生児学、小児血管医学、分子細胞生物学

現在の研究課題:先天性心疾患のカテーテル治療、川崎病、肺高血圧、複雑心奇形の肺循環管理、新生児の循環管理・肺循環管理、胎児心臓病学、院外心停止


医学部附属病院 心臓血管外科 助教

鳥羽 修平(Toba Shuhei)

専門分野:心臓血管外科

現在の研究課題:循環器領域における人工知能の応用、先天性心疾患解剖学、先天性心疾患病理学