認知症の予防・維持・改善には音楽体操が効果的

2017.4.20

三重大学大学院医学系研究科 臨床医学系講座の研究グループが、音楽伴奏のある運動が、認知症患者の認知機能の維持・改善に有意な効果を発揮することを実証しました。これまで認知症に対する音楽療法の科学的根拠は確立しておらず、当グループによる一連の研究成果は世界的にみても稀有なものです。この研究成果は米国医学誌『Journal of Alzheimer's Disease』に2017年3月4日付で掲載されました。

『Journal of Alzheimer's Disease』
URL:http://content.iospress.com/search?q=Mihama-Kiho&published_between=&from_year=&to_year=
(2017年3月4日掲載)※三重大学の外部ページです

  • 「御浜・紀宝プロジェクト:パート2」:音楽体操は認知症患者の日常生活動作を維持する
    三重大学(佐藤准教授)、三重県御浜町・紀宝町、一般財団法人ヤマハ音楽振興会の産学官連携による共同研究である。認知症の非薬物療法として、運動は科学的に有効性が確立しているが、音楽療法はこれまで科学的な効果の立証が成されていなかった。本研究は音楽と運動を組み合わせた体操を被験者へ週1回・半年間実施し(音楽体操群)、ドリルやゲームソフトを行う脳トレ群と比較した。半年経過前後の神経心理検査、日常生活評価の結果を比較したところ、脳トレ群は日常生活動作(ADL)が有意に悪化していたのに対し、音楽体操群では維持されていた。音楽を活用した認知症に対する非薬物療法の有効性を科学的に証明したものである。

  • 「御浜・紀宝プロジェクト」:音楽体操は健常高齢者の認知機能の維持・改善に役立つ
    地域在住高齢者を対象とした、本研究の先行研究である (Satoh, PLOS ONE, 2014)。健常な高齢者を音楽体操群、体操群(音楽伴奏のない運動)、脳検査群(特別な活動なし)の3つのグループに分け、週1回・1時間、1年間の介入前後の認知機能を比較した。その結果、音楽体操群は体操群に比し、運動の内容は同一であっても健常高齢者の認知機能をより改善することを実証した。

  • 音楽伴奏の付いた体操は、音楽なしの体操に比し、認知機能への効果が高い
    音楽に合わせて体を動かすには、動きとバックに流れる音楽を連動させることが必要である。そのためには、運動をしながら音楽を聴き、その曲のリズムやテンポを分析し、それと運動が合っているか否かを判断し、さらにその結果を自らの運動にフィードバックするという操作を同時に行う必要がある。これは非常に複雑な認知課題であり、このような認知課題を定期的に被験者へ実施したことが、音楽体操により認知機能が維持・改善された理由と推察される。

    20170417記者会見

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三重大学医学系研究科 認知症医療学講座 認知症医療学
准教授 佐藤 正之(Masayuki Satoh)

専門分野:神経内科学、神経心理学、認知症医療学、音楽療法
現在の研究課題:音楽認知の脳内機構 認知症の非薬物療法

20170417satoh

三重大学医学系研究科 臨床医学系講座 神経病態内科学
兼 認知症医療学講座 認知症医療学
教授 冨本 秀和(Hidekazu Tomimoto)

専門分野:神経内科、脳卒中学、神経病理学
現在の研究課題:脳血管障害、認知症の病態と治療法開発

【参考】
教員紹介ページ(佐藤 正之)http://kyoin.mie-u.ac.jp/profile/2622.html
教員紹介ページ(冨本 秀和)http://kyoin.mie-u.ac.jp/profile/2500.html
神経病態内科学HP http://www.medic.mie-u.ac.jp/neurology/kouki-kenshu/index.html