グローバルナビゲーションへ

本文へ

ローカルナビゲーションへ

世界初 自閉症と聴覚過敏の併発メカニズムの解明及び、自閉症を見分ける新たな診断方法

2017.3.30

三重大学大学院医学系研究科 発生再生医学講座のグループが、自閉症に聴覚過敏が併発する原因の一部を解明しました。自閉症には聴覚過敏がしばしば併発しますが、その原因は解明されておらず、本研究成果が世界初となります。この研究成果は日本小児科学会の英文機関誌『Pediatrics International』誌への本掲載に先立ち、2016年12月12日付でオンライン掲載されました。

日本小児科学会『Pediatrics International』
URL:http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/ped.13186/full
(2016年12月12日掲載)※三重大学外部のページです
DOI: 10.1111/ped.13186

20170419_narita『Pediatrics International』Vol.59の表紙に本研究が掲載されました。

  • 自閉症と聴覚過敏
    自閉症は生まれながらの発達障害で、コミュニケーション障害・社会性の障害・こだわりが主な症状である。自閉症には音への敏感さ(聴覚過敏)をしばしば併発するがその原因は不明であり、それ故対策が遅れがちであった。また、自閉症の診断の決め手は細かな問診によるが、医師により判断が異なり、より使いやすい問診項目が求められていた。
  • 世界初の発見:聴覚過敏の原因は聴覚抑制系の異常が原因である
    研究グループは従来から自閉症モデル動物を作製し、自閉症の様々な特徴を解明してきた。今回、自閉症モデル動物を用い、脳内にて聴覚過敏の原因と思われる所見を世界で初めて発見した。脳内の音の伝達経路は、「増幅」する経路と「抑制」する経路で組み立てられている。自閉症モデル動物では、音を「抑制」する経路に障害が見られ、これが聴覚過敏を引き起こした原因だと推定した。

  • 「すぐに導入できる」自閉症の新たな診断方法
    自閉症により異常が見られた脳の部分は「音がどの方向から聞こえているか」を判断している箇所でもあった。そのため保護者に対し、「(お子様は)音がどこから聞こえてくるかわかっているようですか」と問診することで、かねてより困難だった自閉症診断をより正確に行なうことができる。特別な医療機器も薬品も不要で、新たな問診項目としてすぐに導入することができる。

参考2

20170313_「自閉症と聴覚過敏」望遠 (33)

三重大学医学系研究科 生命医科学専攻 基礎医学系講座
助教 江藤 みちる(Ida-Eto, Michiru)

専門分野:神経科学、解剖学
現在の研究課題:自閉症の病態解明、聴覚神経系の機能解析、女性研究者および女性医師のワークライフバランス


20170313_「自閉症と聴覚過敏」望遠 (31)

三重大学医学系研究科 生命医科学専攻 基礎医学系講座
教授 成田 正明(Masaaki, Narita)

専門分野:発生学、解剖学、小児神経学
小児科専門医、小児神経専門医
現在の研究課題:自閉症の原因解明
*三重大学医学部附属病院小児科、桑名市総合医療センター小児科、紀南病院小児科で発達障害診療を行っている。

【参考】
教員紹介ページ(江藤 みちる)http://kyoin.mie-u.ac.jp/profile/2649.html
教員紹介ページ(成田 正明) http://kyoin.mie-u.ac.jp/profile/1467.html
発生再生医学分野HP http://www.medic.mie-u.ac.jp/develop_regener/index.html