学校心電図検診による肺高血圧の早期発見について

2019.1.21

研究の概要


医学部附属病院の三谷義英准教授、医学系研究科の澤田博文講師が、全国調査の結果、日本特有とされる学校心電図検診が特発性肺動脈性肺高血圧(IPAH)の早期診断に有用であることを証明しました。

特発性肺動脈性肺高血圧(IPAH)とは、稀な疾患(1名/年/100万人小児人口)であり、肺高血圧の中で末梢の肺動脈が収縮、閉塞を来し、他の原因が認めらないものを指します。2000年代以降、有効な治療薬の開発により、5年生存率は約75%と改善したものの、予後不良な疾患です。早期に診断された例では、診断が遅れた例より、治療後の予後が良好な傾向にありますが、主症状(息切れ、疲れやすさ)は気づかれにくく、早期に診断することが困難なため、早期診断法は最近20年以上にわたり進歩に乏しい状況でした。

一方で、日本では1954年から関西地方の一部地区で学校心臓検診が行われており、1995年には学校保険法施行規則の改正により、全国の小学校、中学校、高校の1年生全員に心電図検査が義務化されました。心電図は右室肥大を反映しますが、肺高血圧を早期診断できるか不明は不明でした。

そこで、2005年~2012年にかけて全国調査を行い、肺高血圧を早期診断できるか調査したところ、特発性肺動脈性肺高血圧の診断を受けた患者の年齢では学校検診を受ける年齢が突出しており、その有用性が示されていました。また、検診発見例の方が症状等で発見された場合に比べて軽症である場合が多く、予後が良いことも分かりました。

今回の発見により、今後、学校心電図検診の判読の向上による早期診断の進歩や、日本独自のシステムである学校心電図検診の日本以外での議論と普及が期待されます。

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研究者情報


20181129_記者会見(医学部附属病院) 望遠 (27)_R

医学部附属病院 准教授

三谷 義英(Yoshihide Mitani)

専門分野:小児科、小児循環器学、周産期医学、小児保健(学校心臓検診 )

現在の研究テーマ:肺高血圧、川崎病、重症先天性心疾患、心臓性突然死

 

20181129_記者会見(医学部附属病院) 望遠 (31)_R

医学系研究科  講師

澤田 博文(Hirofumi Sawada)

専門分野:小児科学、小児循環器、新生児集中治療

現在の研究テーマ:小児肺高血圧、肺高血圧発症の分子機序