- 三重大学長ブログ -

三重大学長ブログです。

令和5年度 学位授与式が執り行われました

本日、三重大学を卒業される1309人の学部学生の皆さん、修了される412人の大学院生のみなさん、ご卒業・修了誠におめでとうございます。すべての大学教職員とともに、心からお祝い申し上げます。
晴れてこの日を迎えられた皆さまを言祝ぐご挨拶でありますが、まず、それに先立ち、令和6年能登半島地震により尊い命を失われた方々のご冥福を心よりお祈りするとともに、ご家族の皆様に謹んでお悔やみを申し上げます。そして、今も復興に向けてご尽力されている方々に感謝の意を表したいと思います。
学部生のみなさんにおかれましては、4年前、新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から本学の入学式は中止を余儀なくされ、ここにいる卒業生の多くは、三重大学に入学した感動を感じ、一生の思い出となるはずであった入学式への参加が叶わず、大変つらい思いをされたと思います。また、入学当初より、オンライン授業が実施され、課外活動・会食はおろか、キャンパスで同級生、先輩や教職員と対面でコミュニケーションをとることさえできず、想い描いた大学生活を送ることが困難な大変厳しい状況がしばらく続きましたね。大学院生のみなさんにおかれましては、新型コロナウイルス感染症の分類が、昨年5月には引き下げられましたが、みなさんの研究生活には様々な支障が生じ、思うように進めることができないことも多くあったことでしょう。このような状況下でも、ひたむきに学業や研究活動に打ち込まれ、無事成就された皆さんのこれまでの絶え間ない努力に、最大限の敬意を表したいと思います。さらに、素晴らしい個性を土台として、三重大学での学業や様々な活動を通して獲得した能力を以って、今後皆さんが素晴らしい活躍をされることに大きな期待をいたしたいと思います。また、今までに経験したことのない厳しい修学環境におきましても、惜しみない支援・励ましを続けて来られましたご家族の皆さまにも、心より御礼とお慶びを申し上げます。

学位授与式の様子①

学位授与式の会場の様子

今年度卒業されます皆さんは、三重大学において、幅広い教養の基礎に支えられた高度な専門知識や技術を身につけられました。三重大学の教育目標である「4つの力」、すなわち、「感じる力」、「考える力」、「コミュニケーション力」、そして、それらを総合した「生きる力」を修得した皆さんに、本日学位が授与されます。このような力を持って三重大学を卒業される皆さんが、将来に向け力強く生き、社会で大きく羽ばたかれることを重ねて期待しております。
最先端の知識、高度な技能、そして熱くたくましい心を自分のものとされ、卒業されますことはとても素晴らしいことでありますが、その一方で、これから皆さんがそれぞれの希望と志を持って歩まれる社会は、さまざまな要素が複雑に絡みあって、その変化が早く、不確実で先の読めない「VUCA」とも表される時代です。皆さんは、この時代を生き抜かなくてはなりません。
現在の世界情勢を見ても、米国一強から欧米や日本を中心とする西側先進国、対抗軸としての中国・ロシアに加え、新興勢力としてグローバルサウスの国々が力をつけてきており、政治、経済、軍事などの先行きは複雑で不透明です。また、グローバル化、AIなどのテクノロジーの進化、環境問題や新型コロナ感染症に代表される疫病流行、我が国においては少子高齢化の加速など、現在の社会はさまざまな要素が複雑に絡みあっています。このような社会に生き、活動していくには、グローバルとローカルの両視点で社会の動きを敏感にとらえ、その本質を理解しながら、各々がおかれている場の様々な課題に向けて、自分自身のしっかりとした考え方を持ちながら、迅速に行動していくことが必要です。今までに積み重ねられた学問を含め、新しい知識を常に学び続けられることを学んだ皆さんは、多くの人々が幸せを感じられるように、今後たくましく活躍していっていただきたいと願っています。科学技術が急速に発展した現在、その技術をいかに社会に取り入れ、活用すべきなのか、私たち人間の役割・真価が問われる時代でもあります。

さて、これからの長い人生の中で、いずれ遭遇する様々な試練や逆境に備え、皆さんに身につけていただきたい力があります。創造性、主体性、積極性を重視し、地域・社会・世界とのつながりを意識して「行動する力」です。三重大学生は、素直で協調性が高く、堅実で温和であるとされ、産業界をはじめ広く社会で評価されてきました。これらの資質をさらに伸ばしつつ、三重大学で得た「4つの力」に加えて、「行動する力」を身につけることで、必ず試練や逆境を突破し、皆さんや皆さんの家族のみならず、様々な人が希望をもって幸せに、そして豊かに暮らせる社会を作っていけるものと信じています。
最後に、学ぶことは、「人がよく生きていく」ために、そして「人生を豊かにする」ために、生涯にわたって必要とされます。立場にとらわれず、自由で主体的な活動を心がけ、組織において縦割りではなく、仲間同士の横のつながりを深めていくことが大切です。さらに、ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンの風土やSDGs活動における「誰一人取り残さない(leave no one behind)」の精神を高めて活動していくことが重要です。本日、学位記を手にされる皆さんの多くは、これから三重大学を離れ、それぞれ違った進路を歩まれることとなるでしょう。母校である三重大学は、これからもずっと皆さんを見守り続けます。これからの人生の中で困った時には、いつでも三重大学という「つながりの場」を活用してください。私たちはいつでも皆さんを歓迎します。三重大学もまた、今後の発展のために皆さんの力を必要としています。卒業・修了後も同窓会等を通じて、是非三重大学の活動のサポーターとなっていただけるようお願い申し上げます。
皆さんの未来が、前途洋々たる、すばらしい夢と希望に満ちていることを信じ、お祈りしています。

フェアウェルパーティの様子

フォトスポットで写真撮影をする卒業生と学長

フォトスポットで撮影する学生と学長①

フォトスポットで撮影する卒業生と学長