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三重大学生の「Actする力」-環境ISO学生委員会-

今回は、学生が主体となって環境問題に取り組んでいる三重大学の「環境ISO学生委員会」の委員長、大向拓海さん(人文学部3年生)と、当委員会の部会の一つである「グリーンキャンパス部」の奥田久瑠美さん(生物資源学部1年生)に委員会の活動について、環境情報科学館でお話を伺いました。

奥田さんは、三重大学の2030年SDGs達成に向けたアイデアとして、三重大学のペットボトルのリサイクル率を100%にすることを掲げ、先日表彰されました。そこで、奥田さんの所属する環境ISO学生委員会について、今回インタビューすることとなりました。

この「環境ISO学生委員会」は、三重大学が環境マネジメントに関する国際的な認証規格であるISO14001を取得するにあたり、学生視点からも環境問題を考え、対策に取り組めるよう2006年2月21日に設立されました。本来は2年生が中心メンバーですが、コロナ禍の影響で現在は3年生が中心となっています。

今や環境問題は待ったなしで、SDGsでも重要なテーマに挙げられています。カーボンニュートラルへの対応など、我々一人ひとりが持続的にしっかりと取り組んでいかなければなりません。三重大学は、環境先進大学として活動を続け高い評価を受けていますが、それを学生の立場から支える素晴らしい活動をご紹介します。

環境ISO学生委員会は、「執行部」、「グリーンキャンパス部(3R班、自転車班、緑化班)」、「地域連携部」、「広報部」、「イベント企画部」、という組織で活動しています。
今回お話を伺った大向さんは、全体を取りまとめる執行部の委員長で、先輩に誘われてこの活動に参加するようになったそうです。
また奥田さんは、ご自身の育った環境からリサイクルなどの取り組みに以前から興味を持っていて、卒業生が使わなくなった家具・家電を新入生に譲るリユースプラザで環境ISO学生委員会と接したのが、本活動に参加するきっかけだったそうです。

奥田さんの所属するグリーンキャンパス部の活動の中心は、3R(Reduce、Reuse、Recycle)です。具体的な活動内容は、生協で販売されているお弁当のリ・リパック(容器)やエコキャップリサイクルです。
リ・リパックは、回収しないと廃棄されてしまうため、コストの面からも40%以上の回収率が必要とされます。奥田さんたちは、この回収率を高める重要な役割を担ってくれています。
エコキャップは、回収業者の買取により換金が可能なプラスチックです。キャンパス内で回収したキャップが、NPO法人エコ・ワクチン協力会により発展途上国のワクチン購入に役立てられているそうです。

リサイクルを通じた環境問題への取り組みと、発展途上国への支援を両立させたこの取り組みは、SDGs目標12(つくる責任・つかう責任)やSDGs目標3(すべての人に健康と福祉を)に通ずるものであり、大変すばらしいと感銘しました。

また、古紙やプリンターインクの回収推進もこの委員会が広報面などで積極的に活動しており、第一食堂と翠陵会館・生協売店との間にあるエコステーションには、再資源化を待つものがたくさん集められていました。

エコステーションの前で(左から大向さん、伊藤学長、奥田さん)


大向委員長からは、放置自転車をなくす活動をする自転車班、教職支援センター前花壇や環境情報科学館の屋上花壇や緑のカーテンを管理する緑化班の話を聞かせていただきました。
今年度、三重大学教職員も緑花チーム(私も参加しています)を結成し、本部前にコスモス畑つくりなどを行っていますので、今後は環境ISO学生委員会緑化班とのコラボができると面白いと思いました。
さらに、環境ISO学生委員会の地域連携部は、町屋海岸の環境保全などの活動を行っている地域のNPO法人町屋百人衆と共同で町屋海岸の清掃を年に5回実施しているそうです。

委員会の様々な活動は、広報部が主にツイッターで広報し、イベント企画部がいろいろな場所でパネル展示などを開催するというように、ただ活動を行うだけでなく、活動の意味を伝え、輪を広げるところまで、学生メンバーが知恵を出し合いながら幅広く取り組んでいるところに頼もしい次世代の姿を見せてもらいました。

SDGs達成への気運が世界的に高まり、異常気象などの環境問題がとても身近な社会問題となりつつある今、我々一人ひとりの前向きな意識が問われています。三重大学は、環境問題への対応、SDGsへの取り組みを積極的に行い、社会を牽引していける人材の育成を行いたいと思っています。今回の報告の様に、学生さんたちが主体性を持ってこれらの問題に対して積極的に活動していてくれることを大変逞しく思います。まさに三重大学生の「Actする力」です。

対談の様子