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三重大学生の「Actする力」- すぱいすupくまの.-

三重大生が、地域活性化を目指して、熊野市にカフェ「すぱいすupくまの.」を起業したというニュースを聞きましたので、行ってきました。

津市から熊野市までは少し遠いですが、待ち望まれた熊野尾鷲道が2021年8月29日に全線開通したため、信号停止なく自動車専用道路で、一気に行くことができるようになりました。ずいぶん熊野市が近くなったと感じました。

カフェ「すぱいすupくまの.」は、熊野市駅前にある熊野市が若者の起業を応援するために整備した商業施設の1階にあります。建物を管理する熊野市観光公社が今年6月に出店者を募集し、三重大学人文学部法律経済学科4年生の久保理香子さんの「すぱいすupくまの.」が選ばれました。大変おしゃれなカフェで、お昼はテイクアウトのお弁当を販売し、午後からは、カフェとして営業しています。

お店の外観お店の入口

久保さんは、人口減少が続く熊野市の活性化について高校生の時から考えていたそうです。三重大学人文学部に入学し、現在は地方行政に興味があり、岩﨑 恭彦先生の地方自治論ゼミで勉強しています。地域の活性化には、地域の方々が地元に愛着を持つことが大切で、そのためには、豊かな時間をゆったりと育める場所が必要であると考え、今回のカフェの起業に繫がったとのことです。

三重大学で受けた教育では、教養教育などにおける三重県の企業家、行政の長の方を講師として招いた講義が大変勉強になったようです。三重に貢献したいと思うなら三重大学への進学が一番良いと話してくれた時は、大変嬉しく誇らしい気持ちになりました。

三重大学の教育目標は、幅広い教養の基盤に立った高度な専門知識や技術を有し、地域のイノベーションを推進できる人材を育成するために、「4つの力」、すなわち、「感じる力」、「考える力」、「コミュニケーション力」、それらを総合した「生きる力」を育むことです。これらの言葉には直接表現されていませんが、この中に含まれている重要な力に『Actする力』があります。仕事を遂行するにあたり、その方法論として良く出てくるPDCAやOODAにはいずれもA、すなわちActが入っています。久保さんの今回のカフェ起業は、まさにこの『Actする力』。地域の課題を見つけ、様々なデータから、その解決法を考えて、様々な人たちとコミュニケーションをとりながら、解決に向け行動する、この力が、今後の幸せな社会を創っていく上で重要だと思います。三重大学もこのような力をより発揮できる人材育成を目指し、教育のバージョンアップを行っていきます。

地域を活性化する第一歩を踏み出した久保さんには、今後益々キャリアアップを積みながら、素晴らしい地方のリーダーとなっていただきたいと思います。

伊藤学長(左)と久保さん(右)お店の中の様子