- 三重大学長ブログ -

三重大学長ブログです。

三重大学 三翠の心

皆様 4月より学長に就任いたしました。よろしくお願いいたします。
本ブログでは、様々な話題について発信してまいりたいと思いますが、まず学部長・研究科長との対談を通じて、三重大学の現状と課題について考えてみたいと思います。
初回は、生物資源学部について、生物資源学部・生物資源学研究科長の奥村克純先生にお伺いしました。

対談する伊藤学長(左)と奥村研究科長(右)


奥村先生とのお話は、三翠会館で行いました。「三翠」という言葉が三重大学によく出てきます。この建物は、生物資源学部の前身である三重高等農林学校時代の1936年に建てられたもので登録有形文化財に指定されています。また、三重大学の講堂も三翠ホールと名付けられています。三重高等農林学校創設の時の素晴らしい景観は、「樹(松)のみどり」、「海のみどり」、「空のみどり」を「三翠」という言葉で表され、三重大学の基本理念にある「〜人と自然の調和・共生の中で〜」という部分に通じ、現在の大学運営・キャンパスづくりに引き継がれています。

三翠会館の前で写真撮影 伊藤学長(左)と奥村研究科長(右)


学部の教育研究理念をお聞きすると、「山の頂きから海の底まで」という一言でお返事が返ってきました。大量生産、大量消費、GDPを繁栄の指標とする時代から、幸せ度や満足度を大切にし、モノから情報、所有からシェア、縦社会から横のつながりを考える生き方を重視する時代に変わってきています。また、社会全体が、環境問題、SDGsなどの持続可能な考え方をベースに置くようになってきていますが、生物資源学部は創設時より「人類の持続的生存を保障する」という高い使命感を持って教育研究活動が行われていることから、地域共創大学を目指す三重大学の方向性そのものであると感じました。

奥村研究科長

山の頂きから海の底まで イラスト 


鈴木三重県知事が、日本を2つに折ると、その折り目にちょうど三重県が来ると言われるように、三重県は日本全体の縮図です。生物資源学部は、質の高い基礎的研究に加えて、農場、演習林や水産実験所などの附属施設、練習船勢水丸や地域拠点サテライトを活用しながら日本の縮図である三重県全体を活動フィールドとして、教育研究活動を展開しています。農林水産系におけるほとんどの学問領域をカバーする約70の教育研究分野で構成され、博士課程を有し、入学定員が260名の東海・中部で最大規模の学部です。

農林水産分野の産業は、今までの生産に加え、今後、加工、流通販売などを一体として取り扱う第6次産業への展開が望まれています。この展開には、Society5.0で必要なAI活用や質の高いデータ構築、GAP(good agricultural practices)認証などの品質と安全保障などが大切だと奥村先生は言われました。これらの新しい社会の流れを取り入れ、人材育成、地域社会貢献など、新しい生物資源学部の活動が進んでいくものと思われます。第4期に向け、生物資源学部の益々の発展を期待したいと思います。

伊藤学長(左)と奥村研究科長(右)