新入生のためのメンタルヘルスEmbracing Your Journey: A Mental Wellness Guide for New Students

はじめに

 いよいよ新しいキャンパスライフが始まります。大学生活では、人間関係、授業や研究活動、そして将来の進路や就職など、さまざまな出来事が待っています。
 皆さんのような青年期・成人初期の時期には、「自分らしさ(自我同一性)」を見つけたり、人との関係を築いたりすることがとても大切です。
 ここでは、大学生活の中で心の健康を保つために、気をつけてほしいポイントをお伝えします。

メンタルへルスとこころの病気

 「メンタルヘルス」は日本語で「精神保健」や「心の健康」と訳されます。WHO(世界保健機関)では、メンタルヘルスを「生物学的・医学的・教育的・社会的な側面から心の健康を促進し、より良い人間関係を築いていくこと」と定義しています。
 狭い意味でのメンタルヘルスは、心の病気を予防したり、治療したりすることです。そのためには、自分の心の不調に気づき、適切に対処できる力を身につけることが大切です。
 近年、社会の変化にともなって心の病気は増加しています。たとえばこの20年間で、うつ病などの気分障害や神経症で医療機関を受診する人は約3倍に増えています。それでも、心の不調で実際に病院を受診する人はごく一部です。
 最近の日本の調査では、過去1年間にうつ病になった人のうち、専門的な精神科の治療を受けたのは約3分の1にとどまるといわれています。また、うつ病を発症してから実際に病院を受診するまでに長い時間がかかることも問題になっています。早めに治療を受けた方が、その後の回復がスムーズになるため、早期対応が重要です。
 こうした背景を受けて、近年では「心の病気」に対する誤解や偏見(スティグマ)をなくすための取り組みが進んでいます。たとえば、心の病気を持つ人も学校や職場などで普通に生活できる社会を目指す「ノーマライゼーション」、また心の不調がある人も利用しやすい環境づくりを意味する「バリアフリー」という考え方の普及が進められています。

キャンパスにおける 保健管理センターの役割      

 保健管理センターでは、皆さんが安心して学生生活を送れるように、心の健康をサポートしています。心の不調の早期発見や早期対応を目指し、メンタルヘルスに関する相談や、必要に応じて医療機関への案内、カウンセリングなどを行っています。
 また、学生本人だけでなく、教職員や保護者の方からの相談にも対応し、心の問題に配慮した修学支援や、休学・復学のサポートも積極的に行っています。これは「学校保健安全法」に基づく取り組みでもあります。
 そのほかにも、卒業時の健康指導や、心の病気に対する啓発活動、研修会なども実施しています。

ストレスへの対処

 ストレスは、生きている限り避けられないものです。適度なストレスは、やる気や集中力を引き出す良い効果もあります。ただし、あまりにも大きく避けられないストレスは、心や体に悪影響を与えることがあります。
 最近の研究では、「ストレスとうまく付き合うこと」が健康を保つ鍵だといわれています。まずは、自分がストレスを感じていることに気づくことが大切です。そして、十分な休息やリラックスする時間を取り入れ、ストレスに負けない力(ストレス耐性)を高める方法を学びましょう。

最後に

 心の病気は、見た目や自覚症状だけではわかりにくいことが多く、自分自身でも気づきにくい場合があります。そのため、早めに相談したり、まわりの人に話してみることが大切です。もし不安なことがあれば、気軽に相談してくださいね。

 三重大学保健管理センターは、来所者のプライバシーの保護を厳守して、専門医の診察、専門医機関への紹介、休学・復学に対する相談、医療機関とキャンパスの間の橋渡しをします

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