- 学長ブログ ある地方大学長のつぼやき -

三重大学長の「つぶやき」と「ぼやき」のブログです。

かいぜん活動を楽しくやろう!
~三重大学業務改善推進セミナーと初任者研修にて~

 12月2日(水)に岡山大学総務課長の菅原康宏さんが、「岡山大学における業務改善」というテーマで三重大でお話をされたので参加しました。菅原さんは、民間企業でのご経験を生かし、1年半前まで文科省の大学会計担当の専門官としてご活躍になりました。私も、学長時代に菅原さんにたいへんお世話になりました。菅原さんは、新任地の岡山大で、業務改善を精力的に推し進められています。すべてをご紹介することは紙面の関係でできませんが、最後の“まとめ”のスライドだけ皆さんにご紹介しましょう。

<まとめ>
業務改善の成功のため、「よそ者、若者、馬鹿者」になろう
・業務改善の成功には「よそ者」の客観性、「若者」の柔軟な思考、「馬鹿者」の愚直さ、一途さが不可欠
・客観性と論理性があり、その上で、公のための熱意があって、はじめて人は動く。
・現状の客観的把握・分析により、何をしなければならないかが共有される。
・何のための業務改善かを常に意識しよう。
・何をどうしたいかを明確化しよう。
・その上で、適切な手段を講じよう。
・最初から大きな「成功」を焦ることはない。小さな「成功」を積み重ねよう。
・そして、業務改善を通じて、大学と共にあなたも成長しよう。
・「成功」のために、何がいつまでにできればよいか、逆算して考える習慣を付けよう。
業務改善の主役は、あなたです。さあ、行動しよう。

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 さて、今度は私の出番です。12月10日(木)は三重大職員の初任者研修の第一日目。私も講師を頼まれ、お引き受けしました。午後3時に三重大の会議室にいくと、プロの講師による“接遇”の講習が終わったところ。私の担当は“業務改善活動”についてです。この1年間に三重大の常勤職員になった新人25人に対して、まずスライドで講義。

 大学を取り巻く厳しい環境、“運営”と“経営”の違い、大学のビジネスモデル、三重大のミッション、PDCA(計画―実行―評価―改善)といった、経営の初歩の説明から始め、ミッション達成のために、顧客の視点、財務・効率の視点、職員の成長の視点、危機管理の視点の4つの視点で改善・改革のPDCAを回し続けようと訴えました。

 そして、ふだん心がけるべき7つのキーワードとして「失敗を恐れるな」、「必死のコミュニケーション」、「有言実行」、「タコつぼを壊そう」、「見える化」、「5回のなぜ」、「命令から問いかけへ(コーチング)」を紹介しました。
 
 次はいよいよ本番です。ブレーンストーミングと、原因追求型特性要因図(魚の骨)という基本的なツールについて説明し、5つのグループに分かれて、実際に現場の問題を考えていただくことにしました。

 この日は、財務・効率化の視点による業務の改善を考えようということで、まず各グループの皆さんに、それぞれの職場で無駄と思われることをブレーンストーミングで洗い出していただき、その中から、この日に検討するテーマを選んでいただきました。「なぜ有給休暇が消化できないのか?」、「紙の無駄がなくならないのはなぜか?」、「超過勤務がなぜなくならないのか?」など、どこの職場でも困っているテーマが取り上げられました。

 最初は少しとまどっているようでしたが、じきに活発な議論になり、各グループとも短い制限時間の中で、原因追求型特製要因図を完成できました。

 業務改善活動というと、余分な仕事をやらされていると受け取る人もいるかもしれませんが、皆でああでもない、こうでもないとワイワイガヤガヤ議論すると、あっという間に楽しく時間が経ってしまいますね。今回の新人の皆さんには、改善活動が、とっても楽しいものであるということを実感していただいたと思います。

 経費の節減努力なんて誰も楽しいこととは感じないと思うのですが、“かいぜん”活動は、それを楽しく感じさせてくれる方法だと思います。「かいぜん活動を楽しくやろう!」これが極意ですね。楽しければ長続きするし、どこの職場にも広がっていくと思います。

 民主党政権によって、自民党政権の時代よりも激しく大学予算が削減されようとしている中で、大学の機能(教育・研究・地域貢献)を低下させるどころか、むしろ高めるように、現場の皆さんの“楽しい”かいぜん活動による創意工夫をお願いしたいと思います。

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