- 学長ブログ ある地方大学長のつぼやき -

三重大学長の「つぶやき」と「ぼやき」のブログです。

若者よ、そのエネルギーで海外にはばたこう!
~三重大開学60周年にて~

   10月9日(金)は三重大の開学60周年記念式典が開かれました。三重大と協定を結んでいる大学として、私が現在副学長をしている鈴鹿医療科学大学の作野史朗学長、タイ国チャンマイ大学のポンサック学長、スペインバレンシア州立工芸大学サンチェズ・ルイズアジア・アメリカ担当部長が招かれました。三重大学長、三重県副知事、津市長、来賓の祝辞のあと、新しい学章やアカデミックガウンの披露があり、三重大学吹奏楽団による洗練された祝典演奏で、式典は終わりました。

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S20091012-5.jpg   特別記念講演では、有名な黒川 清先生が「グローバル時代の大学の使命」というお話をされました。いつものように、歯に衣を着せない、一刀両断のしゃべりくちをお聞きしました。黒川先生のメッセージは、一言で言えば、これからの日本は、物ではなく人材育成に力を入れるべきであり、そのためには日本の大学生、特に学部学生はもっと海外に出ていかないといけない、ということだったと思います。そして「その時の共通語は何だと思いますか?」と問いかけられました。

   「えっ、英語ではないの?」と思っていたら、黒川先生は、なるほどという答えを用意されていました。「それは、ブロークン・イングリッシュです!」

   この「ブロークン・イングリッシュ」という答えは、私も賛成ですね。1984~86年に、私はアメリカのテネシー州ナッシュビル市にあるバンダービルト大学医学部の分子生理学研究室に留学をしていました。この地域は南部なまりの英語で、マクドナルドに入っても店員さんのしゃべっている英語がなかなかわかりませんでした。その時の私のボスは故河野哲朗という先生で、インスリン作用のメカニズムの研究で世界的に有名な先生でした。河野先生の英語の発音は日本語なまりの英語で、アメリカ人にはなかなか難しかったようです。しかし、ある時、イギリスの先生が大学に来てセミナーをしたのですが、バンダービルト大学の先生がたにはイギリス英語がよく理解できなかったらしい。河野先生にあとで聞いてみると、イギリス人とアメリカ人はお互いに通じないことがあり、しばしば私が日本英語で通訳をするんだよ、とおっしゃっていました。

   黒川先生の講演のあとは、三重大の学生たちによる祝賀演奏会。附属中学校音楽部の合唱、応援団、ダンス部、ギターマンドリンクラブが、それぞれ、ほんとうに素晴らしいステージを繰り広げました。若者たちは、こんなにすばらしいエネルギーを持っているんだと、ほんとうに感心しました。

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   祝賀懇談会では、私も乾杯のあいさつをさせていただきました。“三重大は自力で留学生宿舎も建設し、また、海外の大学とのダブルディグリー制度も始め、国際交流に力を入れているので、今日の60周年でのパフォーマンスで発揮した若いエネルギーでもって、学生の皆さんには、ぜひとも海外へいってほしい”と檄(げき)をとばしました。

   その懇談会の席上で、学生さんとお話をしていたら、自分たちは医学部の2年生で、先ほどの黒川先生の話を聞いて、ぜひとも海外へ行きたいという。私は、三重大の医学部は海外の大学との交流を進め、半数以上の学生さんが卒業までに海外で実習をしているので、ぜひ、その機会を利用して君たちも海外へ行ってくださいと申し上げました。そのうちのお一人は、ご両親が私のブログのファンで、家に帰ると私のブログのコピーを読まされたとのことでした。

   そこまで私のブログを喜んでいただける人がいたとは・・・。これからもペースが落ちないようにがんばらなくっちゃ。

   後日、学生さんの一人から素晴らしいメールをいただきました。
“「うちの両親が豊田先生のブログのファンです!」とお話させていただいた医学生です。両親に報告しましたら、「やっと豊田先生とお話できたか」と、喜んでおりました。黒川清先生の講演をはじめ、素晴らしい式典でしたね。黒川先生のブログにも早速、三重大でのエピソードが書かれていました。ブログ本文中に出てくる「サインをした学生」は私でした・・
 三重大学のため、三重県のため、日本のため、世界のために自分にできることを、積極的にactionしていこうと思います。”