- 学長ブログ ある地方大学長のつぼやき -

三重大学長の「つぶやき」と「ぼやき」のブログです。

三重大生よ、開拓者(アントレプレナー)たれ!(その1)

私の三重大学長としてのブログが書ける日も、残り少なくなってきました。三重大生の皆さんに、少しばかりメッセージを追加しておきたいと思います。

三重大生について、ちょっと気になる意見を聞くことがあります。それは、三重大生はおとなしいという感想です。卒業式の式辞の最後に述べたように、私は、すばらしい教育を受けた三重大生は、もっと自信をもって、胸を張って、目標や夢に果敢に挑戦をしてほしいと感じています。そして、三重大生は、その能力をりっぱに持っていると思います。

その証拠として、私の目にたまたま止まった三重大卒の若手で、がんばっている人をご紹介しておきましょう。

この女性は、平田佐織さんといいます。三重県津市出身で、三重大2000年卒。人文学部社会科学科で民法を専攻しました。平田さんは、三重大卒業後、大阪大学大学院法学研究科に進まれ、教授の松川正毅さんに指導を受けました。その後、がんばって司法試験に挑戦され、3回目の挑戦で、当時の合格率2.8%という難関をみごとに突破されました。現在は、名古屋中央法律事務所で弁護士としてご活躍されています。ご結婚もされ、ご主人さまも弁護士とのことです。

09032604S.JPG

平田さんを私に紹介していただいたのは、彼女の大学院の恩師の松川正毅(ただき)さんなんです。松川さんは以前に三重大の人文学部に在籍され(86~96年)、私が医学部の産婦人科の医師として若かりし頃、先生とたいへん親しくさせていただきました。実は松川さんのお二人のお子様を取り上げさせていただいたんですよ。

09032603S.jpg

松川さんは民法学者で、フランスの法律に詳しく、特に生殖医学の法律に詳しかったので、いろいろと教えていただき、医学部の学生にも講義をしていただきました。現在は、大阪大学大学院高等司法研究科(法科大学院)の研究科長をしておられます。つい最近、ご著書の「医学の発展と親子法」(有斐閣)が評価され、第21回尾中郁夫・家族法学術賞に選ばれました。そんな松川さんに平田さんを紹介いただいたというわけです。

私は、どのようにして平田さんが司法試験に合格したのか、一度平田さんに直接お目にかかってお聞きしたいと思い、名古屋に寄る機会があった日に、法律事務所におじゃまをしました。そして、三重大生へのメッセージをいただいてきました。

09032601S.JPG

「私がいた頃の三重大生は、自分でできないんだという壁をつくって、いろんな才能があり、せっかくできる可能性があるのに、ある枠の中でしか活躍できないと思いこみ、高い目標に挑戦しない雰囲気でした。ゆめに向かってがんばっているという感じではなく、はじめから望んでいない気もしました。私も、三重大生のままであれば挫折していたかもしれません。阪大に行って周りの人が普通に司法試験を受けているので私も受けたんです。三重大生はもっと自信をもって大きな夢に向かって挑戦をしていただきたいと思います。」

09032602SJPG.jpg

これこそ、私が三重大生に伝えたいメッセージですね。法人化後、「感じる力」「考える力」「生きる力」「コミュニケーション力」を教育目標に掲げて、学生さんが自ら積極的に学習し行動するPBLや実践的な教育を導入したのは、まさにこのためです。

三重大生よ、開拓者(アントレプレナー)たれ!