- 学長ブログ ある地方大学長のつぼやき -

三重大学長の「つぶやき」と「ぼやき」のブログです。

"男女共同参画検定試験"あなたはいくつ答えられますか?
~鈴山雅子さんの講演「理系分野における男女共同参画」より~

 ブログの読者のみなさん、突然ですが、次の記述が○か×が答えてみてください。(○と×がそれぞれ3つずつあります。)

1.日本の女性国会議員の割合は約2割である。
2.日本のGEM(ジェンダー・エンパワーメント指数:女性が政治参加や経済界におけ
   る活躍、意思決定に参加できるかどうかを表す指数)は先進国中最下位である。
3.日本では夫からの暴力による被害の経験者は約3割である。 
4.日本では働いていた女性が第1子出生の1年半後に働いている割合は約5割であ 
  る。
5.日本では男性の育児休業取得率は約5%である。
6.三重県で「男は仕事、女は家庭」という考え方に同感しない人の割合は約5割であ 
  る。

 正解はブログを読んでいただくとわかりますよ。

09012301S.jpg  1月3日のブログでは、日本の女性研究者の割合が12.4%で、主要34カ国中34位であることをご紹介し、三重大では「パールの輝きで三重を元気に」という女性研究者を増やそうとする取り組みを本気で始めたことをご紹介しましたね。この活動の一つとして、1月20日(火)三重県男女共同参画センター(フレンテ三重)の所長の鈴山雅子さんの講演会「理系分野における男女共同参画」を三重大講堂で開催し、約100人が参加しました。

 鈴山さんは平成8年に県立上野商業高等学校長、平成10年県教委体育保健課長、平成12年県立津高等学校校長、平成14年から現職につかれた先生で、まさに、この地域の教育界における女性リーダーのお一人です。先生が上野商業高校の校長になられた時は、三重県で80ばかりある高校の中で、歴代3人目の女性校長であったということです。学校の先生は女性が多いと思っていたのですが、小学校、中学校、高校と進むにつれて少なくなり、高校では約2割、そして、高校の校長先生となると、女性はまだまだ少ないということです。 09012305S.jpg   鈴山さんはいろいろなデータをお示しになって、クイズ的な設問も随所にちりばめられ、男女共同参画についてたいへんわかりやすく説明されました。男女共同参画は女性だけが集まって議論しても、男女の溝が深くなるだけで解決にならず、男性と女性が一緒に議論しなければならないとお話されたのですが、この日はずいぶんと男性の方々が参加したので、この点については、三重大は合格ですね。

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 鈴山さんのお示しになったデータによると、日本の国会議員における女性の割合は現在約1割で、主要国の中で最低の部類です。GEMは54位ということであり、先進国で最下位といってよいでしょう。女性研究者の割合が低いので、三重大では「女性研究者支援室」を立ち上げて、なんとかして増やそうとしているのですが、そもそも日本では、研究者だけではなく、ほとんどの指導的な職種で、女性の割合が低いのですね。

09012303S.jpg  そうそう、最初にお出しした設問の答えを申し上げないといけませんね。問1は×、問2は○でしたね。問3も○です。問4は×で、正しい数値は約3割です。問5も×で0.5%です。

 問6の三重県で「男は仕事、女は家庭」という考え方に同感しない人の割合は約5割というのは○なのですが、若い人ほど多くなり、20代の男性では約6.5割になっています。ところが20代の女性も約6.5割と同じ値なんですね。男女が同じ割合というのは、少し意外でした。そして、少し気になるのは、30代の男性は約5割、女性は約7割で、男性は若くなるほど同感しない人の割合が増えているのですが、女性は逆にやや減っていることです。お正月のテレビで、最近の若い女性の結婚願望が強いことが報道されていましたが、ひょっとすると、何か関係があるかも知れないと感じました。早く結婚することは全然悪いことではないと思うのですが、ただし、外で働きたくないので結婚するということだと、せっかくの女性の能力が社会で生かされなくなりますね。男女共同参画の問題は、なかなか難しく根が深いものだと感じました。

 しかし、三重県男女共同参画センターの機関誌“フレンテ”の最新号(09年1月号)を見ると、三重県が男女共同参画に積極的に取り組んだ企業を表彰する「ベストプラクティス賞」に08年度は万協製薬さん(従業員83人)が選ばれたことが紹介されていました。育児休業の取得を3年まで延長するなど、つぎつぎと独自の取り組みをしておられます。社長の松浦信男さんは、実は、三重大の大学院(医学研究科のバイオメディカル創業人材プログラム)で勉強しておられる学生でもあります。

 男女共同参画の問題の解決はなかなか難しいもので、男女それぞれの意識や生活パターンが根本的に変わらないことには解決せず、みんなで地道な努力を続けないと解決しないと思いますが、松浦さんの事例は、トップが本気になって、具体的な施策を実行することの大切さを示していますね。