- 学長ブログ ある地方大学長のつぼやき -

三重大学長の「つぶやき」と「ぼやき」のブログです。

お正月に届いた、とっておきの贈り物
~シュワ知事のサイン入り写真、「楓橋夜泊」の書、歌会始の儀~

  大不況の中でのお正月ですが、1月13日の三重県薬事工業会の賀詞交歓会の私の挨拶では、1月2日のブログで紹介した「大不況イノベーションで吹っ飛ばせ」という句を皆さんにご披露しました。「季語がないのですが・・・」というお断りを申し上げたところ、会場でお会いした方から、「企業にとっては“不況”という言葉が季語ですよ。」とフォローをしていただきました。

  さて、ことし年賀状をいただいた皆さん、ほんとうにありがとうございました。年賀状以外にもとっておきの贈り物をいただきましたので、ブログの読者の皆さんにもご紹介しておきましょう。

1.シュワ知事のサイン入り写真
 米国カリフォルニア州から届いた郵便物を開いてみると、アーノルド・シュワルツェネッガー知事のサイン入りの写真でした。昨年8月29日のブログで、医療福祉のオートメーション(メカトロ・ロボット)の産学官連携を推進する目的で、カリフォルニア大学のアーバイン校を訪れた時に、残念なことにシュワ知事に会えるはずだったのに会えなかったことを書きました。このサイン入り写真が届いたことは、シュワ知事側が、引き続き三重大との連携を進めたいという意向を持っている証(あかし)と思われ、今後の連携に期待が膨らみますね。

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2.「楓橋夜泊」の書
 昨年11月12日のブログで広西医科大学訪問を書きましたが、その時に学長で耳鼻咽喉科教授の黄光武さんが、すばらしい書を書いてくれたのです。それを掛け軸にしたものを、三重大環境分子医学教授の村田真理子さんとの共同研究のために来日された講師の張哲さんが、持ってきてくれました。ちなみに張さんは中国南部で発生する上咽頭癌の研究をしています。張さんの重要な共同研究の成果を心から期待しています。

 黄先生の書は、唐代の詩人で政治家であった張継の最も有名な詩「楓橋夜泊」です。都落ちした旅人が、蘇州の楓橋の辺りで船中に泊まった際、旅愁のために眠れぬまま寒山寺の鐘の音を聞いたという詩です。

 月落烏啼霜満天、  月落ち、烏(からす)啼(な)きて、霜(しも)天に満つ
 江楓漁火対愁眠。  江楓(こうふう)漁火(ぎょか)愁眠(しゅうみん)に対す
 姑蘇城外寒山寺、  姑蘇(こそ)城外の寒山寺(かんざんじ)
 夜半鐘聲到客船。  夜半(やはん)の鐘声(しょうせい)客船(かくせん)に到る

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3.歌会始の儀
 3つめの贈り物は、皇居でとり行われる新春恒例の「歌会始の儀」の傍聴でした。宮内庁から通知を受け、15日にモーニング姿で皇居へ。私は皇居へ入るのは生まれて初めてで、さすがに大きいな、と感じました。松の間という、総理大臣の就任式も行われる部屋で、衆参両院の議長をはじめ、各界の代表者の中にまじって傍聴させていただきました。

 今年のお題は「生(せい)」で、まず、全国から応募された詠進歌の中から選者によって選ばれた「選歌」10首が読み上げられ(「披講(ひこう)」と言われます)、選者の詠進歌、召人(めしうど、民俗学者の谷川健一さん)の詠進歌、皇族(秋篠宮殿下)の詠進歌、東宮妃(ひつぎのみこのみめ―皇太子妃)の詠進歌、東宮(ひつぎのみこ - 皇太子)の詠進歌と続きます。そして、参加者が起立をし、皇后さまの御歌が2回、天皇陛下の御製(おおみうた)が3回繰り返されます。

 この「披講」というのは、ほんとうに独特の節回しですね。これが日本という国が古代から連綿と伝えてきた文化なんだと、私にとっては新鮮な印象でした。しかし、服装は皇族をはじめとして洋服です。日本文化の源泉であると思っていた宮中が、考えてみれば明治維新の時に西洋文化を大胆に取り入れたんですね。明治維新というのは、ものすごい文化大革命だったんだなあと、改めて日本の歴史に思いを馳せた一時でした。

 残念ながら内部では写真をとれないので、外へ出てから記念撮影。お土産にいただいたお菓子は亀山の自宅へもって帰り、戦争中は軍医として南方の戦地におもむき、近々95歳になる父と分けました。NHKで生放送をしていたのを、家内がビデオにとっていたので見てみると、私の顔もちゃんと映っていましたよ。

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