- 学長ブログ ある地方大学長のつぼやき -

三重大学長の「つぶやき」と「ぼやき」のブログです。

学長の授業参観:キャリア教育
~学生たちといっしょに元気な三重大に!~

   三重大では、学生さんに将来の自分の人生のビジョンや目標を描いた上でしっかりと学んでいただけるよう、共通教育でのキャリア教育の充実を図っています。12月11日(木)に、たまたま時間が空いたので、宮崎冴子先生のキャリア形成特論Ⅱ「コミュニケーションとリーダーシップ」の授業を参観しました。

   共通教育3号館1321室に入ると、学生たちが小グループに分かれて座っており、グループごとにパワーポイントや配布資料によって、順番に発表を行っているところでした。学生は1年生と2年生がほとんどで、さまざまな学部から参加していました。三重大を元気にするために何を改善すればいいのかというテーマで、それぞれのグループが自分たちで取り上げた三重大の課題について、みんなでいっしょうけんめい解決策を考え、一人ずつ自分の割り当てられたところを発表していました。このような形の授業は、先生が最初から最後まで講義をして終わる“講義”ではなく、小集団に分かれて行うグループワーク、あるいはワークショップ形式と言われる授業ですね。

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   この発表に至る前の授業では、三重大の課題は何かというテーマで、ブレーンストーミング、バズセッションやKJ法が行われており、そのプロセスで抽出された数多くの問題点の中から、学生たちが一つの問題点に焦点を絞り、問題解決の過程では、自分たちでいろいろと調べるだけではなく、先生や職員にアポをとってインタビューし、専門家の意見も聞いています。このように、仲間とのコミュニケーションを通じて、自ら問題を発見し、問題を解決するというリーダーに必要な資質を、実践的に喚起しようとしているのですね。これは、まさに三重大が目指しているPBL授業の典型です。

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   今回の学生さんの発表を聞いていると実にさまざまな改善の提案がなされており、すぐに実行できそうなすばらしいものもあります。たとえば、連結机(机と椅子がくっついて固定されている)の評判が悪いので、現在、大学は予算を措置して連結机を、くっついていない机と椅子に変えつつあります。学生たちは、まだ十分に使える連結机が廃棄されるということを聞いて生協の食堂で再利用ができないかなど、一生懸命考えてくれました。学生たちは、大学の予算が限られていることにも気遣ってくれた上で、アイデアを出そうとしてくれています。

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   連結机の他にも、学内分煙、自転車置場の改善、風力発電の是非、図書館の改善、ボランティア実践学、就職資格対策、授業アンケートの改善などなど、学生たちは元気な三重大にするためのアイデアをたくさん考えてくれました。実は、私は今、大学の事務職員を対象にトヨタやホンダでやっているような業務改善活動を定着化しようとしており、つい最近も、事務職員のチームリーダー(課長級)を対象に、私自身が指導者となって、ワークショップ形式の研修会をやったところなのです。それと同じ取り組みを学生さんたちは授業でしている。これは素晴らしいことだと思いました。

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   今頃の大学生はやる気がないという他大学の先生もいらっしゃるのですが、なんのなんの、少なくとも三重大の学生たちはとっても元気で、三重大を改善・改革していく大きな力をもっていると感じました。私は、学生と事務職員、そして、教員も一緒に力を合わせて、元気な三重大にするための改善・改革をどんどんやっていける大学にしたいと思っています。

追伸1
 12月17日(水)に共通教育「キャリア・ピア・サポート」の授業の一環として、人生の先輩方からの貴重なお話を聞ける「キャリアデザイン2008~人生の羅針盤を手に入れよう」が開かれました。
 岡三興業株式会社 社長 松本久雄氏
 近畿日本ツーリスト株式会社 相談役 太田 孝氏
 万協製薬株式会社 社長 松浦信男氏
 三重県教育委員会学校教育分野高校教育室 室長 山口千代己氏
 ハローワーク津 学生職業相談員 宮崎 磐氏
 (株)機能食品研究所 社長 梅田幸嗣氏
というすばらしい方々に三重大学まで来ていただき、学生さんに貴重なお話を聞かせていただきました。この顔ぶれにしては学生の参加者が約80名と、たいへんもったいない企画であったと思いますが、学生にとってはこの上ない貴重な時間であったと思います。学生が企画して学生が進行をした授業であり、最初から最後まで学生からの質問が絶え間なく続いたとのことでした。残念ながら私は参観できなかったのですが、授業の後で、ご協力いただいた皆さんといっしょに撮った写真をご披露いたします。


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追伸2
 宮崎先生は学生に授業のあとアンケートを取っておられます。少し長くなりますが、学長の授業参観についての学生の意見を一部ご紹介しましょう。

○まさか、本当に学長に来て頂けるなんて!!私たちが調べたり、考えたりしたことが少しでも三重大学にとってプラスになれば良いなと思いました。うなづきながら話を聞いていて下さってすごく嬉しかったです。3月で辞められるのは意外でしたが、とにかく来て下さったこと、話を聞いて下さったことがとても嬉しかったです。

○学長さんがすごく真剣に聞いて下さっていて、とてもうれしかったです!!学長さんにいろいろなお言葉をいただけてすごくよかったです!!学長さんのブログもちょくちょく見させていただいているのですごくわくわくしました!!ありがとうございました!!

○学長さんの話の中で、学生のみなさんのアイデアを検討して、学生と大学が一体となって三重大を活気づけていきましょう、という言葉がとてもうれしかった。これがここで終わるのか、この続きがあるのか、学生次第だと思った。

○学長さんが予算がないからといって何にも言わないと、何も変わらないから、ばんばん言ってほしいと言ってくださったのが大変うれしかったです。もっとそうしてよりよい三重大になってほしいです。
 学長さんが今期いっぱいでやめられるというのはショックでした。こんなにも三重大のことを思ってくれている学長さんのためにも、今期いっぱい三重大をよりよくするための動きに協力できたらいいなあと思います。

○学長さんに
 3月で任期が終わりと聞いてさびしいです。いつもつぼやきブログ見てます!!普段学長さんと会う機会がめったにないので、もっと学生と触れ合う機会を作るといいと思います、今日は忙しい中、ありがとうございました。

○教員や事務の方々も三重大学の授業やいろいろな問題点を改善しようと頑張っているのは全く知らなかったので嬉しかったです!教員だけ会議していてもいけないし、逆に学生だけ本当に実現しそうにない改善点の討論ばかりしていても意味がないと思います。やはり、今回の授業のように学生がそれぞれよく考えて、調査・討論してきた問題点を大学に反映していただく会議の場に出せる力をお持ちの教員の方々やそれこそ学長に聞いていただける機会が増えれば、本当に三重大学がよくなっていくと思います。学生から大学へ意見を出すばかりでなく、教員や事務の方々からの質問・要望を学生が解答する機会も増えれば良いですね。