- 学長ブログ ある地方大学長のつぼやき -

三重大学長の「つぶやき」と「ぼやき」のブログです。

中国医学の質の向上を感じる
~広西医科大学にて~

 翌日の9日(日)は、三重大同窓生の王さん夫妻と、同じく三重大同窓生で広西大学の生命科学・技術学部の学部長の馮家勛(日本語読みでヒョウカクン、Feng Jia-Xun)さんが、市内を案内してくれました。「青秀山」という公園には10階建ての塔があり南寧市内がよく見渡せます。今日は台風の影響で水が濁っている邕江(Yong Jian)の北側に市街地が広がっていますが、さらに南側にも開発が進行中です。青秀山には海外からのVIPが宿泊する施設もあります。南京でも同窓生に聞かれたのですが、学長の給与はどのくらいかと聞かれたので、私の給与は教授の1.5倍ですと答たら、中国では10倍もの開きがあり、格差が大きすぎるので、日本がうらやましいとのことでした。

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 青秀山内の仏寺を訪れた後、市街地にもどり、「中国ASEAN博覧会(CAEXPO)」が定例的に開催されている展示場へ。南寧市は東南アジアとの貿易で重要な都市であり、近くにはシンガポール資本の大きなビルも建っています。会場の回りは美しい花で囲まれています。1年中花が咲いているんですね。会場前の広場では世界各社の自動車が展示されていましたが、値段は日本と比べて安くはないと感じました。値下げの看板は、今の経済状況の反映かもしれません。

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 お昼ごはんは市街の南湖公園にあるレストランで。「広西壮(チワン)族自治区水産畜獣医局」の副局長の盧兆発(日本語読みでロ・チョウハツ、Lu Zhaofa)さんが迎えてくれました。盧さんも三重大の留学生OBです。役人の仕事は朝早くから夜遅くまであり、土日もつぶれて、とても忙しいとのことでした。これから、南寧から2時間のところにある港湾都市で観光地の北海(ベイハイ)へ行くところということでした。“北海”といっても、北欧諸国が面している北海ではなく、ベトナムと中国が面している北部湾(以前トンキン湾と呼ばれていた)にあります。南の地方だけあって、この日の昼食にもワニ料理が出てきました。

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 午後3時に広西医科大学へ。学長の黄光武さんの出迎えを受けましたが、黄さんは耳鼻咽喉科の医師で、日本の琉球大学で学んだそうです。広西医科大学は薬学部や看護学部などの医療系の学部も要する学生数約1万人の大学です。この日は口腔医学院(歯学部)の30周年記念の学会が開かれていましたが、琉球大学からのお祝いの垂れ幕が飾られていました。三重大学とも今後学生や教員の交流を進めることを話し合いました。

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 附属病院の見学をさせていただきましたが、歯科は最新の機器を備えており、VIP用の診察室もあり、中国の医療の質は急速に向上しているようです。私の専門が産婦人科なので産婦人科の病棟も見学させていただきました。日本ではまだ少ないLDR分娩室も備えられていました。この分娩室は、家族もいっしょに泊まって自宅の雰囲気でお産ができる分娩室で、アメリカでは当たり前になっています。妊婦さんの入院期間は3日とのことでアメリカほどは短くないようですが、日本より短いですね。とにかく日本の病院での入院期間の長いことは世界的に突出しています。

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 大学病院の医師(教員)の給与について質問したところ、教員としての基本給は同じだが、たとえば手術を多くした医師には手当を高くするなど、診療の負担に応じで給与が上がるので、若い医師でも教授より給与が高くなることがあるとのことでした。また、診療だけではなく、教育や研究についても、実績に応じて手当が高くなるようにしてあり、今、黄さんがもっとやる気がおこるような給与の配分方法を考えているとのことでした。

  夜は海鮮料理のお店へ。南寧は海まで2時間のところにあるので海産物は豊富とのことです。魚やウニ以外に鶏の足やガチョウの首などもいただきました。夕食後、再び中国ASEAN博覧会会場のある市街地へまばゆいばかりの夜景を見に行きました。世界経済の混乱で、中国も一時的には大きなダメージを受けると思いますが、また、環境問題や農民の格差問題など解決するべき問題も多々あると思いますが、中国の成長への底力を改めて感じさせられた訪問でした。

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